伝統的工芸品「白根仏壇」の団体組織|白根仏壇協同組合について解説

shironebuthudan-cooperative

白根仏壇協同組合 概要

白根仏壇協同組合_白根仏壇バナー

※画像出典:新潟市南区観光協会

「白根仏壇協同組合(しろねぶつだんきょうどうくみあい)」は、新潟県南区で組織されている仏壇店の組合組織です。

協同組合とは、共通の目的やニーズのために個人や企業、非営利団体などが集まって設立される組織のことです。

集まった団体や個人は組織の組合員として所属し、管理運営をおこなって組合の目的などを果たすことを目指します。

「白根仏壇協同組合」は明治30年に前身組織が設立されており、改称改組を経て、昭和55年に伝統工芸品の認定を受けた白根仏壇の維持発展に尽力してきています。

目次

沿革・歴史

「白根仏壇」は300年の歴史があると言われており、元禄年間(江戸時代中期)に作られた「白木仏壇」がそのはじまりであると伝えられています。

仏壇店の組織として協同組合が立ち上げられたのは明治30年のことであり、組織として各店が協力し合いながら、今では伝統工芸品となった「白根仏壇」を作り上げる技術を現代まで受け継いでいます。

  • 元禄年間(1688~1704年):伽藍師(宮大工)であった長井林右ェ門が京都から仏壇技術を取り入れて仏壇を作った
  • 享保年間(1716~1736年):野本仁左ェ門が仏壇の金具職人として飾屋を開業した
  • 天明年間(1781~1789年):仏壇製作が5つの工程に分業化され、量産体制が整えられたのがこの時期とつたえられる
  • 1783(天明3)年:松沢与七が仏壇の塗り職人として漆屋を開業した
  • 1856(安政3)年:出雲屋仏壇店が開店した
  • 1897(明治30)年:塗師8代目千代沢虎二が白根仏壇同業者組合を発足した
  • 1911(明治44)年:白根仏壇組合に改称し、公式の組合を結成して仏壇産業発展の基礎を築いた
  • 1975(昭和50)年:白根仏壇協同組合に改組した
  • 1977(昭和52)年:新潟市で新潟市仏壇協同組合が発足した
  • 1977(昭和52)年:豊栄市で豊栄市仏壇業協同組合が発足した
  • 1977(昭和52)年:越後仏壇協同組合連合会が発足され、白根仏壇協同組合の他、新潟市仏壇協同組合ならびに豊栄市仏壇協同組合との連合組織として運営される
  • 1980(昭和55)年:経済産業大臣(旧通商産業大臣)から越後仏壇協同組合連合会の会員が作る仏壇が新潟・白根仏壇の名称で「伝統的工芸品」の指定を受ける
  • 2002(平成14)年:新潟市仏壇業協同組合と新潟大学工学部教授と新潟市(商工振興課)などにより、伝統技術を用いた新たな仏壇の可能性について、勉強会を定期的に開催するなど、新たな需要の掘り起こしを積極的に進めている
  • 2009(平成19)年:新型仏壇が(柳都仏壇)完成した
  • 2010(平成20)年:新潟市仏壇業協同組合は新潟仏壇組合に改組された

【団体名称】白根仏壇協同組合

【所在地】 新潟市南区白根1240-3(白根商工会内)

【設立】  1897年設立、1975年改組

【組合員数】17店舗・2個人

【公式HP】 にいがた匠の技 (niigata-ipc.or.jp)

出典:新潟地域伝統工芸品産業紹介Web Site

事業・取り組み

「白根仏壇協同組合」は、明治期に業者組合として立ち上げられ、仏壇作りに携わる職人たちを連携させる活動を進めていたようです。

また、昭和55年に「伝統的工芸品」として指定された「白根仏壇」を基本として、仏壇産業の発展に尽くしています。

仏壇製作に携わる職人の高齢化や、技能の継承問題が叫ばれる中で、組合加盟の事業所の20〜30歳代の若手技術者を対象に、伝統工芸士らによる技能継承事業を積極的に進めて、若手技術者の成長を推し進める活動をおこなっています。

現在は、新潟大学や新潟市と協同で伝統技術が用いられている「白根仏壇」の新しい可能性や需要を見出すべく活動しています。

2009年には活動の成果として、「柳都仏壇」と名づけられた新しい仏壇が完成しました。

伝統的工芸品

経済産業省_伝統的工芸品

※画像出典:伝統的工芸品 (METI/経済産業省)

伝統的工芸品とは、求められる要件をすべて満たし、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年法律第57号)に基づいて、経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことをいいます。

指定されるにあたって求められる要件は下記の通りです。

  1. 主として日常生活で使用する工芸品であること
  2. 製造工程のうち、製品の持ち味に大きな影響を与える部分は、手作業が中心であること
  3. 100年以上の歴史を有し、今日まで継続している伝統的な技術・技法により製造されるものであること
  4. 主たる原材料が原則として100年以上継続的に使用されていること
  5. 一定の地域で当該工芸品を製造する事業者がある程度の規模を保ち、地域産業として成立していること

※出典:伝統的工芸品とは – KOGEI JAPAN(コウゲイジャパン)

特徴

「白根仏壇」の特徴

新潟・白根仏壇 (youtube.com)

白根仏壇は、江戸時代中期に宮大工の長井林右ェ門が京都の仏壇製法を取り入れて、独自に彫刻で手を加えた仏壇を作ったことから始まったといわれています。

このときに作られた仏壇は「白木仏壇」と呼ばれて、白根仏壇のはじまりとして存在を伝えられています。

白根仏壇は、5つの工程を経て作り上げられるといわれており、「5職」と呼ばれるそれぞれ専門の職人が分業して行っています。

「5職」とは「木地師」「彫刻師」「金具師」「塗師」「蒔絵師」を指しています。

製作工程

1.木地工程

仏壇の本体となる木地をつくる工程です。

材料には主に檜(ひのき)、欅(けやき)などが使用されており、仏壇として完成してから狂いが生じないように、良質の木材が厳選されています。

1年以上乾燥させた材料となる木材は、部品となる寸法にあわせて切り分けられます。

仏壇の枠組みを作るため「削り」の作業がおこなわれます。

「削り」作業には種類があり、必要な厚みになるように削り上げる作業の「荒削り」、そこからさらに削りあげる作業の「中削り」、角などを取る作業の「面どり」などが行われています。

最後には細かい紙やすりなどで細部を整える作業の「仕上げ削り」などをおこない、各部分を手作業で組み立てていきます。

2.彫刻工程

各宗派の様式に沿った、人物や花鳥などの彫刻を施していく工程です。

彫刻する絵柄を材料に書き込み、ノミや小刀など数十種類の工具を駆使して手作業で彫り込みます。

おおまかな形を作る「荒削り」、より細かな形を整える「中彫り」、彫刻として仕上げる「仕上げ彫り」と段階を経て全体の形を整えていきます。

彫刻の技法はいくつかあり、立体的に飾り部分を掘り出す「丸彫り」、板を数枚重ねて奥行きと立体感を表現する「重ね彫り」、材面より低く彫る「平彫り」などがあります。

後の工程で彫刻に塗りや蒔絵で金箔を貼りつけることになります。

そのため、施される部分は深く彫るなどの調整を行いながらの作業をすすめていくのです。

仏壇内部には多くの彫刻が彫られますが、その精密さにより見た目が大きく影響されます。

3.金具工程

白根仏壇には飾り金具が多く用いられており、仏壇に取り付ける金具を作りあげる工程です。

金具を仏壇に取り付けることで、白根仏壇の特徴ともいえる華麗で荘厳な雰囲気に仕上がります。

金具の材料には銅や真鍮(しんちゅう)が良く使われています。

工具の「鏨(たがね)」を使って金属を加工し、様々な文様を彫っていきます。

特に、「魚子鏨(ななこたがね)」で打ち出す「魚子文様(ななこもんよう)」は新潟・白根仏壇ならではの特徴とされています。

魚子鏨は別に「ミルタガネ」とも呼ばれる鏨で、打ち出すと丸い文様が付くようになっています。

錺(かざり)金具製造工程 魚魚子(ななこ)打ち (youtube.com)

文様の彫りが完成したあとは、金具材料の色の特製を活かしながら金メッキや緑青などで着色していきます。

4.塗工程

木地に漆を塗る工程です。

漆を木地に塗るにあたって、はじめに「下地」と言われる塗装を木地に施していきます。

下地を塗っては乾燥させるという工程を繰り返すことで、表面を滑らかにしていきます。

この作業は下地は仕上がりの出来に大きな影響を与えるといわれています。

下地が完成したあとに漆を塗る工程に移ります。

塗の工程では、漆を塗って乾燥させた後に表面を砥ぐ作業を数回繰り返します。この作業を「中塗り」、「上塗り」と呼んで、地道に繰り返しおこなうことで表面に艶を出していくのです。

最低3ヶ月は繰り返される実に非常に手間と時間がかかる作業ですが、刷毛による丁寧な手仕事により深い味わいが現れます。

5.蒔絵工程

漆の上に蒔絵を描いて装飾を仕上げる工程です。

はじめに、細い筆で花や鳥などの絵模様を漆で描いていきます。

その上に青貝やあわびの薄片や金粉・銀粉を蒔いて、華麗に仕上げます。

薄片や金粉・銀粉を蒔く頃合いは、漆の乾き具合を見極めて決めますが、職人の経験や勘が求められる作業です。

伝統的な蒔絵の技法には「磨き蒔絵(みがきまきえ)」「高蒔絵(たかまきえ)」「平蒔絵(ひらまきえ)」などがあります。

なかでも「高蒔絵」は、漆を何度も塗って盛り上げていくことで立体的になるように仕上げて、荘厳な雰囲気が醸し出されます。

6.金箔押し

金箔を貼っていき、仏壇を華やかに仕上げる工程です。

金箔は一枚ずつ丁寧に金箔を貼っていきます。

貼りつけるにあたり、貼る部分の大きさに合わせて金箔を切り、箔押し漆を塗って貼っていく作業です。

金箔を貼りつけた後には艶出し、艶消しなどの技法で仕上げていきます。

なかでも、極薄の金箔のつなぎ目を合わせて貼っていく作業には熟練の技が必要といわれています。

加盟するメリット

「白根仏壇協同組合」は、伝統的工芸品に指定された「白根仏壇」の存続を図りながら、仏壇仏具の制作に携わる店舗や職人個人をとりまとめる組合組織としても活動しています。

また、外部団体などと連携して仏壇の新しい可能性を広げることと、なにより「白根仏壇」という存在を世間一般に知ってもらうために活動しています。

組合組織に加盟するメリットは、自分たちが作り上げる商品を、世間一般に認知してもらえるための活動を支えてもらえることが大きいといえます。

また、現代の日本社会において一店舗や一個人だけの力では、商品や技術を後の世に伝え残していくという努力にも限界が伺えるところです。

しかし、業界をまとめている大きな組織に所属して、組織に所属している者同士が横のつながりを密にすることで、大きな推進力を得ることが期待できます。

伝統的と称される文化や工芸品といった、古来から受け継がれているものは、未来へ引継ぎ、受け継ぐことが段々難しくなってきているといわれています。

理由はそれぞれありますが、特に大きな理由は、現代に生きる人びとに大きな興味を持ってもらえないことではないでしょうか。

また、工芸品を作り上げるための材料の入手や、職人技と呼ばれるような技術を継承し続けていくことの困難さがあげられるところです。

これは木材などの材料においては、森林開発や植林などといった政策に左右されることもあげられますが、日本国土の気候が変わりつつあり、植生の変遷が未来においてどうなっていくのかはっきりと見通せないといえます。

また、技術継承については、職人の成り手である後継者が不足していることが大きく取り上げられるところです。

これは工芸品の世界に限った話ではなく、現代日本の社会特性として「人不足」が慢性的であるといわれていること、加えて「人口減少社会」と言われ続けて解決の見通しがたっていないことが指摘されています。

こういった問題点に対しても、組合組織の一員として活動することで、一部地域の狹く小さな問題とするのではなく、日本全国にむけて周知して目を向けてもらえることを期待できるようになるでしょう。

役員・理事(所属企業)

組合加盟店(17店舗・2個人)

「白根仏壇協同組合」に加盟している店舗・個人は下記の通りです。

  1. 相澤仏壇店:仏壇・仏具の製造販売等
  2. いからし仏壇:仏壇・仏具の製造販売等
  3. 株式会社出雲屋仏壇:仏壇・仏具・神具・神棚の販売と修理
  4. 有限会社尾張屋仏壇店:仏壇・仏具の製造販売等
  5. 株式会社笠井仏壇工芸:仏壇・仏具の製造販売、寺院用仏具販売、寺院修復工事等
  6. 小林仏壇店:仏壇・仏具の製造販売等
  7. 新飯田の小林仏壇店:仏壇・仏具の製造販売等
  8. 笠徳仏壇店:仏壇・仏具の製造販売等
  9. 株式会社鈴木仏壇店:仏壇・仏具・墓石・供養用具の製造販売・石材設計・加工
  10. 須田金具製作所:仏壇の製造(金具工程)
  11. 鶴巻 成二(蒔絵):仏壇の製造(蒔絵工程)
  12. 野内木彫製作所:仏壇の製造(彫刻工程)
  13. 樋口 温男(蒔絵):仏壇の製造(蒔絵工程)
  14. 株式会社福宝:仏壇・仏具・墓石の製造販売、寺院修復工事等
  15. 船岡木彫製作所:仏壇の製造(彫刻工程)
  16. 山口木彫製作所:仏壇の製造(彫刻工程)
  17. 湯川仏壇店:仏壇・仏具の製造販売等
  18. 株式会社吉運堂:仏壇・仏具の製造販売等
  19. 松原漆工房:仏壇の製造(塗工程)

※出典:にいがた匠の技 (niigata-ipc.or.jp)

まとめ

この記事では、「白根仏壇協同組合」について紹介しました。

古来、浄土真宗や日蓮宗との縁が強く、その信仰も厚かったといわれる新潟の地で、京都から取り入れられた技術を長年積み重ねて磨かれた製造技法は、現在では日本の伝統的工芸品として世界に向けて紹介される商品にまでなっています。

また、寺院用仏具等の制作においても、その培われた伝統的技術が惜しみなく用いられており、寺院を支え続けています。

こうした技術をもつ店舗や職人個人を、組織的にまとめて伝統的産業として維持発展できるようにしていく活動を担っている「白根仏壇協同組合」を知っていただければ幸いです。

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