碑文谷創の葬送基礎講座3 格差社会の葬送―いま葬送が抱える課題とは?③

格差社会の葬送―いま葬送が抱える課題とは?③

 

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葬儀費用の分布-「平均」が無意味化

 

データ数が少ないが、他に信頼できる調査がないためにとかく用いられるのが日本消費者協会「葬儀についてのアンケート調査」である。直近である2017【平成29】年1月発表の第11回の報告書によれば、葬儀費用の合計の平均額は1,957,000円となっている。

この調査、標本数:4,038名、有効回答者数:1,875名、回収率:46.4%
このうち「直近3年間に身内に葬儀があった」と回答したのは811名。
こんな少ない回答を基に全国平均のみならず地域別の数字まで出すという無茶ぶり。

葬儀費用で、葬祭業者への支払いにほぼ近いと思われる「葬儀一式費用」(調査票では「病院からの搬送・安置・飾り付け・会場祭壇設営・会葬御礼・霊柩車・ハイヤー・火葬費用・斎場使用料」)については329名が回答し、その平均額は1,214,000円となっている。

ちなみに最低額は50,000円、最高額が5,000,000円。
この費用分布を見ると、広く分散している。

最多価格帯は100万円未満で、平均額を下回るのが58%を占めている。
「平均」などというものが意味をなさないことがわかっていただけるだろう。

 

「一億総中流」から「格差社会」へ

かつて「一億総中流」という言葉があった。

1970(昭和45)年実施の内閣府「国民生活に関する世論調査」で自らの生活程度が中の下~中の上であると意識する人が9割を占めたことからきている。
高度経済成長を謳歌した戦後日本は、経済的には最も平等な社会と思われた。

もっともこの調査、実情を反映しているか、いささか疑問である。
「長期不況」「格差社会」のただ中といわれる直近の「平成29(2017)年度国民生活に関する世論調査」でも次のような結果になっている。

上:1.1%、
中の上:14.2%、
中の中:56.5%、
中の下:21.7%、
下:5%、
わからない:1.4%

直近でも中の下~中の上で92.4%を占めている。
これは実態を表しているのではなく、質問の仕方がおかしいのではないか。

厚労省が行う「国民生活基礎調査」を1995(平成7)年と2017(平成29)年とを比較してみる。

生活意識 1995年 2017年
大変苦しい 12.7% 23.8%
やや苦しい 29.3% 32.0%
普通 51.8% 39.2%
ややゆとりがある 5.7% 4.3%
大変ゆとりがある 0.5% 0.7%

「大変苦しい」と「やや苦しい」で1995年には42%と半数未満であったのが、2017年には55.8%と半数を超えた。
2017年には「ややゆとりがある」と「大変ゆとりがある」を合わせても5%にすぎない。

 

拡がる所得格差

2017(平成29)年国民生活基礎調査により所得金額階級別世帯数の相対度数分布を見ると拡がる所得格差がわかる。
平均所得金額が560万2千円となっているが、平均所得金額以下が61.5%を占める。

 

このグラフ何かとよく似ていないか?
冒頭の葬儀一式費用の分布とよく似ている。
長期不況で日本社会に拡がる所得格差と葬儀一式費用の分布が類似しているのだ。
平均以下が6割前後というのも似ている。

葬儀費用が低くなっているのは、確かに葬儀儀礼に対する重き度が低下していることも影響しているだろう。だがそれ以上に、社会の経済格差の拡がりが影響しているように思う。

いい意味だけではなく、「平均」「人並み」という言葉は姿を消し、それぞれなりの送り方をせざるを得ない社会となっている。

 

(追記)単独世帯が増加し、一般世帯の3分の1を超えたことに見られる家族の変容については別に取り上げる。

 

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