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アメリカの葬儀系スタートアップ紹介

投稿日:2019年4月2日 更新日:

 

はじめに

アメリカ合衆国における葬儀関連産業は巨大で、2017年のデータでは業界全体で約200億ドルの収益があったと報告されています(https://www.statista.com/topics/4731/death-care-services-in-the-us/)。

しかし、他の業界と比べて、テクノロジーの発展に対応し、その恩恵を受けていないこともしばしば指摘されています。

これは特に、テクノロジーに慣れ親しんで育ったミレニアル世代からすると驚くべき事態であり、アメリカでは葬儀業界にテクノロジーの波を起こすべく、これに目を付けたミレニアル世代の起業家によって葬儀関連スタートアップが立ち上げられています。

本記事では、そのようなアメリカの葬儀系スタートアップから注目すべき4社を厳選してご紹介いたします。

 

パーティング (Parting)

Parting About Us

Parting About Us ページ

会社概要

パーティングは葬儀業者とクライアントをオンラインでつなぐサービスです。

葬儀業者はパーティングに登録することにより、パーティングの葬儀業者リストに加えられます。

パーティング

パーティングのウェブサイトにおける葬儀業者登録ページ

葬儀をとりおこないたい顧客側は、パーティングのウェブサイト上で簡単な質問に答えることによって、自身の希望にあった葬儀業者の一覧をみることができ、その中から自身が一番良いと思ったものを選択し、すぐさまその業者とコンタクトをとることができます。

Parting

3つのステップで最適な業者を選び出すフロー

このようにして、パーティングのサービスを通じて、業者はインターネット上で事業を展開することができ、顧客は自分のニーズに合った業者を簡単に選び出すことができるようになっています。

創業者の一人のWill Changはインタビューにおいてパーティングの着想を得たきっかけを次のように語っています(https://www.forbes.com/sites/forbestreptalks/2017/02/24/parting-a-startup-finally-lifts-the-veil-on-funeral-parlor-prices/)。

共同創業者であるTylerの祖母が亡くなられた際、彼は葬儀の計画を任されていました。Tylerはインターネットで調査を始めたのですが、すぐにオンライン上には全く情報がないことに気づきました。このため、彼は葬儀業者に逐一電話せねばなりませんでしたが、多くの業者は電話上で価格を伝えることを拒否したため、実際の費用を知るために彼は業者まで実際に出向かなければなりませんでした。彼が満足のいく決定をするには5日もの時間を要しました。これは悲しみにある中で非常にこたえる体験だったのです。他の生活領域において普通になっているテクノロジーがこの業界には一切導入されていないことは我々にとって非常に驚きでした。このような経緯から、我々は家族の葬儀経験を変革するための方途がなければならないと決断したのです。

基本情報

創業者    Albert Chang, Tyler Yamasaki, Will Chang

創業年月日  2015年

本部所在地  サンフランシスコ、カリフォルニア州

従業員数   10名以下

ウェブサイト https://www.parting.com/

 

Coeio:環境に配慮したグリーン埋葬

Coeio ウェブサイトトップページ

Coeio ウェブサイトトップページ

会社概要

Coeioは環境に配慮した埋葬を可能にするための、「インフィニティ埋葬スーツ」の製造業者です。

「インフィニティ埋葬スーツ」の背後にある問題意識を創業者の一人であるJae Rhim Lee氏はTED トークの中で次のように語っています。

私たちの体内には無数の環境有害物質が含まれており、これには防腐剤や殺虫剤、鉛や水銀のような重金属が含まれています。これら環境有害物質は人が死んだ際に何らかの形で環境へとかえっていくことになります。

Jae Rhim Lee氏によるTEDトーク

Jae Rhim Lee氏によるTEDトーク

火葬の場合には体内の毒素がすべて大気中に放出され、その量は年間2300キロ近くにのぼります。

また、土葬の場合でも、充填剤やホルムアルデヒドの使用がこれらは葬儀職員の間で呼吸器系疾患や癌の原因となっており、こうした有害物質を用いない「グリーン」な埋葬においても、すでに身体に蓄積している環境有害物質は土壌に放出されることになります。

インフィニティ埋葬スーツは身体中の環境有害物質を分解する特殊なキノコを用いて作られたもので、人々やペットの死に際して土壌に散布される有害物質を最小限にします。

これに加えて、インフィニティ埋葬スーツを用いたグリーンな埋葬を行うことで、カスタマ―は高騰する葬儀価格を抑えることもできます。

以上がLee氏の問題意識ですが、これに基づいて設計されたインフィニティ埋葬スーツは環境問題への意識が高まる中注目を集めているようです。

基本情報

創業者    Jae Rhim Lee, Mike Ma

創業年月日  2015年4月

本部所在地  ニューヨーク、ニューヨーク州

従業員数   10名以下

ウェブサイト http://coeio.com/

 

OBITUARe:故人の思い出を記憶に残すプラットフォーム

OBITUARe ウェブサイトトップ

OBITUARe ウェブサイトトップ

会社概要

2014年に創設されたOBITUAReは、新聞に死亡記事を掲載するよりも、インターネット上でより手頃かつ効果的な死亡記事ページを作成するためのサービスを提供しています。

OBITUARe.comのサービスを用いれば、下記のような故人の思い出を残すための特設ページを作成することができます。

各ページでは、故人の死亡記事、葬儀告知、写真共有ページ、お悔やみの言葉を記録するページ、お供えの花の寄贈ページが設けられています。

OBITUARe死亡記事のサンプル

 

基本情報

創業者    Steven Arevalo, Tom Kazarian

創業年月日  2014年

本部所在地  サンフランシスコ、カリフォルニア州

従業員数   10名以下

ウェブサイト https://www.obituare.com/

 

エヴァ―・ラブド (Ever Loved):葬儀計画からオンライン死亡記事まで

EverLovedウェブサイトトップページ

EverLovedウェブサイトトップページ

会社概要

エヴァ―・ラブドの事業はeフューネラルやパーティングのような葬儀計画のプラットフォームを提供するサービスとOBITUAReのようなオンライン上の死亡記事特設ページ作成サービスとの複合事業からなっています。

エヴァ―・ラブドでの葬儀計画サービスページでは次のように宗教・文化・伝統・予算規模・インパクト(環境に配慮した葬儀にしたいかなど)・日程に関する質問にこたえていくことで、クライアントにとって最適な葬儀計画が出来上がっていく仕組みになっています。

宗教が葬儀に際して重要か否かの質問。重要であると答えると、キリスト教・ユダヤ教等から宗教を選択することになります。

 

これらの質問に答え終わると、献体・火葬・土葬の中から希望するものを選び、葬儀を行う場所や日時を選択することで、おすすめの葬儀業者が表示されます。

Everlovedでの選択結果

質問に答えるとこのように最適な業者が表示されます。

また、OBITUAReのように、下図のような死亡記事ページの作成サービスも行っています。

EverLovedの死亡記事ページ

EverLovedの死亡記事ページ

基本データ

創業者    Alison Johnston, Eric Zarowny

創業年月日  2017年9月

本部所在地  サンフランシスコ、カリフォルニア州

従業員数   10名以下

ウェブサイト https://everloved.com/

 

まとめ

本記事では、パーティング、Coeio、OBITUARe、エヴァ―ラブドという4つの注目すべきアメリカの葬儀関連スタートアップをご紹介いたしました。

それぞれのスタートアップの事業内容は異なりますが、テクノロジーを用いて、葬儀業界に風をもたらしているという点では共通しているように思われます。

アメリカではこのような葬儀関連スタートアップが業界をどんどん変革しており、業界の今後の動向から目が離せない状況です。

  • この記事を書いた人
高木俊一(たかぎしゅんいち)

高木俊一(たかぎしゅんいち)

京都大学において学部で法学、修士にて哲学を学んだ後、2014年に渡英。現在、ロンドン大学の一つであるUniversity College Londonならびにケンブリッジ・ウィトゲンシュタイン・アーカイヴにて、博士課程で哲学の研究。
研究テーマは20世紀の哲学者ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』を中心としている。
研究のかたわら、翻訳やマーケットリサーチをおこない知見を広げることも。英国在住。
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