株式会社 エディファミリー~セレモニア富士~┃冠婚葬祭互助会の業績・利益をまとめて分析

エディファミリー利益業績徹底分析

葬儀社の業績・利益を調べる場合、帝国データバンク(TDB)か、商工リサーチ(TSR)、はたまた日経テレコンで調べるのが一般的ですが、いずれも有料です。
ちょっと知りたい、ざっくり今すぐ把握したい、葬儀社の業績・利益の比較をしてみたい、そんな方に向けてまとめました。

今回は茨城県の株式会社 エディファミリーの現状について、貸借対照表をもとに分析いたします。
上場企業の決算資料ほど詳細ではありませんが、事業の大まかな状況はつかめますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株式会社 エディファミリーの概要

「株式会社 エディファミリー」は茨城県水戸市に本社を構え、茨城県内を中心(一部福島県の一部も含む)に冠婚葬祭事業を展開しています。
なお婚礼事業については、宮城県の「株式会社スカイパレスアソシエイツ」が運営する結婚式場「フェリヴェールサンシャイン」との業務提携事業となっているようです。

1966年に貸衣裳店「ともえや」としてスタートした「株式会社 エディファミリー」は、1979年に「茨城ともえ互助会 有限会社」に社名変更したのち、1983年に葬祭事業会社「株式会社 富士祭典」を設立しました。
1999年に社名を「株式会社 エディファミリー」に変更し、2002年に「株式会社 富士祭典」を合併して現体制に至っています。

葬祭事業としては、茨城県内を中心(一部福島県の一部も含む)に16カ所の葬祭ホールを運営しています。

  • 水戸駅南館(茨城県水戸市)
  • 水戸西原館(茨城県水戸市)
  • 水戸50号バイパス館(茨城県水戸市)
  • 城里館(茨城県東茨城郡城里町)
  • 勝田稲田館(茨城県ひたちなか市)
  • 勝田昭和通り館(茨城県ひたちなか市)
  • 那珂東海館(茨城県那珂郡東海村)
  • 常陸大宮館(茨城県常陸大宮市)
  • 常陸太田館(茨城県常陸太田市)
  • 日立サンプラザ(茨城県日立市)
  • 高萩館(茨城県高萩市)
  • 大子館(茨城県大子町)
  • 日立市役所前 和み庵(茨城県日立市)
  • 水戸新原 和み庵(茨城県水戸市)
  • 諏訪 偲ぶ庵(法事会館:茨城県日立市)
  • 矢祭館(福島県矢祭町)

かつては複数の結婚式場も運営していましたが、2018年には冠婚葬祭事業の自社運営から全面的に撤退しています。
「フェリヴェールサンシャイン」も、もともとはエディファミリーで運営していましたが、2018年以降は賃貸となっているようです。

葬儀社の決算公告とは

決算公告資料はその会社が健全な経営を行っているかを確認できる計算書類となります。株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告といいます。

公告の方法は全部で3つあります。

  • 官報に掲載
  • 日刊新聞紙に掲載
  • 電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

決算公告は義務的な側面が強いですが、取引先や銀行に情報の開示を行うことで、自社の透明性や健全性を見せることができるという重要な側面も持ち合わせております。

なぜ葬儀社は決算公告をおこなうのか?

大手葬儀社、あるいは葬儀・葬祭事業を長きにわたって営んでいる会社は、冠婚葬祭互助会を運営するケースが少なくありません。

冠婚葬祭互助会とは、冠婚葬祭などの行事に備えるために、毎月一定の掛金を複数回の支払いで積み立てるサービスです。
冠婚葬祭互助会の会員になることで、葬儀や婚礼といったライフイベントの際に会員割引を受けられるなど、さまざまな面で優遇されます。

一般的な専門葬儀社は、開業にあたって特に許認可は必要ありませんが、冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の認可を受けた企業のみ行える事業です。

出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会ホームページより
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会員から掛金として支払われた前受金は割賦販売法によって積み立てられた前受金の2分の1を次の何らかの方法で保全することが義務付けられています。

  • 法務局に供託する
  • 経済産業省の指定する保証会社と供託委託契約を結ぶ
  • 銀行や信託会社などの金融機関と供託委託契約を結ぶ

上記のいずれかの方法を選択する必要があります。

また、経済産業省は割賦販売法に基づき互助会事業の経営指導や立入検査等を行っています。
なお現在、冠婚葬祭互助会事業者として登録されている事業者は以下より確認することができます。

経済産業省 前払式特定取引業者(冠婚葬祭互助会)許可事業者一覧

上記のように、冠婚葬祭互助会では政府・行政の認可団体として運営している側面があり、義務である決算公告を発表する事業者が多い状況です。

エディファミリーの貸借対照表 

エディファミリー_貸借対照表

エディファミリーでは、54期(2020年6月期)より決算公告の方法を、官報から電子公告(自社のウェブサイトに掲載)に変更しており、直近の数値以外は確認できません。
そのため、54期(2020年6月期)の数値については不明のため、それ以外の年度での分析となっております。

貸借対照表でまずチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である「自己資本比率」が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。
自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされていますが、10%を下回っている場合は改善が必要な状況といえるでしょう。

自己資本比率が低い場合は借入金などの負債が多いので、資金繰りが厳しいと予測ができます。
一方で、自己資本比率が高い場合は返済義務を有しない資金を大量に抱えているので、倒産リスクは低くなると考えられます。

自己資本比率は中長期的にその企業の安定性を確認できる指標ですが、自己資本比率は業種によって大きく異なります。
例えば固定資産(建物や土地や機械など)を多く抱えている業種(製造業や鉄道会社)は最低でも20%程度はあると安心です。

逆に流動資産(ソフトウェアや”のれん”など)を多く抱えている業種(IT企業や卸売業)は最低でも15%程度は欲しいところです。

のれん:その会社が持つ技術やブランドで、目には見えない価値の高い資産のこと

貸借対照表の左右(運用状況と調達状況)の合計額は必ず一致する
「資産」=「負債」+「純資産」という計算式が成り立つことから、貸借対照表のことをバランスシート(Balance Sheet)またはビーエス (B/S) と呼ぶこともあります。

エディファミリーの自己資本比率は8.02%

自己資本比率は「自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100」の計算式で算出可能です。
エディファミリーの自己資本比率を求める式は下記のようになります。

9億1千5百万円÷114億1千5百万円×100=8.02
エディファミリーの2022年6月期における自己資本比率は、8.02%となりました。

エディファミリーの資産と負債について

自己資本比率の次に確認したいのは、資産と負債の額になります。
貸借対照表でいうところの資産は左側に、負債は右側上段に記載があります。

この赤い円の箇所を確認することで、その会社の資産と借金の額を確認できます。

資産合計の推移

貸借対照表の左側に記載されており、「会社の所有する資産」を表します。
資産は下記の3つに構成されています。

・流動資産 = 1年以内に現金化もしくは費用化できる資産
例) 現金、有価証券、商品、製品など

・固定資産 = 長期にわたって会社が保有するものや1年を超えて現金もしくは費用となる資産で有形固定資産や無形固定資産がある。
例)・有形固定資産:建物、土地、車など
  ・無形固定資産:ソフトウェアなど

繰延(くりのべ)資産 = 会社設立にかかった費用や社債発行にかかった費用を一括して費用として計上せずに資産として計上し期間内(数年など)に分けて償却するものとなります。
例) 創立費、開業費、開発費など

エディファミリーの資産合計の推移は以下のようになっています。

エディファミリー_資産合計

エディファミリーの2022年6月期における資産合計は、114億1千5百万円(前年同期比1.69%減)となっています。

2020年6月期の数値が確認できないため、はっきりしたことは分かりませんが、エディファミリーの資産合計は2018年6月期以降ゆるやかに減少しているように見えます。

負債合計の推移

貸借対照表の右側上段に記載されており、「返す必要のある他人からの借金」を表します。
負債は下記の2つで構成されています。

流動負債 = 1年以内に支払い期日を迎える負債となります。
例) 家賃、従業員の給与や賞与、買掛金(サービスや商品の金額を後払いするもの)など

固定負債 = 1年以内に支払い期日を迎えない負債となりますので、流動負債以外の負債は固定負債になるということです。
例) 従業員の退職金、社債、長期借入金など

エディファミリーの負債合計の推移は以下のようになっています。

エディファミリー_負債合計

エディファミリーの2022年6月期における負債合計は105億0千0百万円(前年同期比2.05%減)となっています。
エディファミリーの負債合計は、資産合計と同様にゆるやかな減少傾向にあるようです。

財務安定性指標の一つである流動比率(流動資産÷流動負債×100)は、2022年6月期の時点で136.25(安全ラインは100%以上)となっており、短期的な支払い能力について不安は感じられません。

エディファミリーの純資産について

自己資本比率、資産合計、そして負債合計をみてきましたが、最後に確認したいのは「純資産」となります。
純資産は貸借対照表でいうところの右側下段に記載があります。

純資産は資産(現金、土地、建物など)から負債(借金)を差し引いたものです。

この赤い丸の箇所を確認することでその会社の純資産を確認できます。

エディファミリーの純資産合計、利益剰余金の推移はそれぞれ以下のようになっています。(各用語についても分かりやすく解説しています)

純資産合計の推移

会社の所有する現金や建物などの資産から負債(借金)を差し引いたものとなります。

純資産の割合が高ければ財務健全性が高いと考えます。一方で、純資産がマイナスの状態を債務超過といい、2期連続で債務超過の状態が続いた場合、東証上場の廃止基準に抵触することがあります。

エディファミリー_純資産合計

エディファミリーの2022年6月期における純資産合計は、9億1千5百万円(前期同期比2.81%増)となっています。

2020年以降、世界中で新型コロナがまん延した結果、緊急事態宣言が発出されるなどしたことから、日本経済は大きなダメージを負いました。
中でも葬儀業界は影響が大きかった業種の1つといわれており、債務超過に陥る葬儀社様も少なくないようです。

エディファミリーの純資産合計は、新型コロナ発生前の2019年6月期に比べると減少しているものの、債務超過には陥っていません。
このことからエディファミリーでは、新型コロナの影響を最小限に抑えたと考えられます。

利益剰余金の推移

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。正確な会計用語ではないですが利益剰余金のことを内部留保とも言います。
内部留保は恐らく聞き馴染みのある単語だと思います。利益剰余金は貸借対照表で言うところの純資産の部に記載があります。

内部留保(利益剰余金)が多くあればあるほど、金融危機などの影響で収益状況が悪化した際にも、従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため、企業が生き残るための重要な資金源となります。

エディファミリーの場合は以下のように推移しております。

エディファミリー_利益剰余金

エディファミリーの2022年6月期における利益剰余金は、8億6千5百万円(前期同期比2.98%増)となっています。

エディファミリーの利益剰余金は、2019年6月期から2022年6月期の期間に1億8千2百万円減少していますが、この期間は新型コロナの影響が最も大きかった時期と重なります。
とはいえ2022年6月期には増加に転じていますので、順調に回復に向かっている様子がうかがえます。

株式会社 エディファミリーのまとめ

今回は株式会社 エディファミリーの決算公告を参考に、現状分析を行いました。
エディファミリーの貸借対照表を確認すると、やはり新型コロナの影響は大きかったようですが、被害を最小限に抑えている印象です。

新型コロナ発生前の2019年6月期まで、エディファミリーの業績は上昇傾向にありましたので、2023年6月期には収益状況がさらに改善している可能性が高いでしょう。
今後のエディファミリーの決算公告にも引き続き注目していきたいと思います。

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