骨壷メーカー7社の特徴を解説|骨壷専門メーカー・葬具メーカーまとめ

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骨壷に対するイメージとしては、白一色の陶磁器製が一般的かもしれませんが、現在では多種多様なデザインの骨壷が流通しています。
亡くなった方の99%以上が火葬される日本において、ご遺骨を収骨するための骨壷は、葬儀に欠かせない葬具です。

宗教儀式に対する価値観の変化などから、葬儀の規模も縮小傾向にありますが、骨壷ぐらいは豪華なものを利用したいというご遺族も、一定数いらっしゃいます。
こういったご遺族の意向に対応できるよう、多くの骨壷メーカー様と取引している葬儀社様もあるようです。

そこで本記事では、骨壷を取り扱っているメーカーのうち7社を例にあげて、各社の特徴について解説します。

目次

骨壷を取り扱うメーカーの種類

骨壺を販売している店舗やサイトは数多く存在しますが、開発・製造から手掛けている企業は限られます。
日本国内で骨壷を取り扱っているメーカーは、大きく以下の3つに分類されます。

骨壷を中心に取り扱うメーカー

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基本的には骨壷のみを取り扱うメーカーで、事業内容も骨壷に特化しているため、高い技術力を持つ企業も多いようです。
事業範囲を骨壷の製造・販売のみに限定している企業もありますが、大半のメーカーは骨壷を納める骨箱や骨覆いなども取り扱っています。

葬具全般を取り扱うメーカー

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骨壷だけでなく、葬儀を施行するうえで必要となる祭壇や棺などの葬具から、斎場の備品・消耗品までを包括的に取り扱うメーカーです。
事業内容が広範にわたるため、自社製品だけでなくパートナー企業の製品も取り扱うケースも多く、葬儀業界の総合商社のような立ち位置となっている企業も少なくないようです。

また骨壷専門メーカーに比べ、企業規模も大きくなる傾向があります。

陶磁器の製造・販売メーカー

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日本国内で使用される骨壺については陶磁器製が大半を占めるため、もともと食器や花器などを製造していた陶磁器メーカーが、骨壷を取り扱うケースも少なくないようです。
こういった陶磁器メーカーの中には、事業の中心を骨壷の製造・販売にシフトし、骨壷専門メーカーとなった企業もあります。

骨壷に関する葬儀業界の動向について

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骨壷に関する動向としては、手元供養品を取り扱う企業の増加があげられます。
自宅にご遺骨を安置しておこなう手元供養は、ここ10年ほどで一気に一般化しましたが、市場の拡大とともに異業種からの参入が相次いでいます。

骨壷メーカー様や葬具メーカー様はもちろんのこと、もともと家具や雑貨を取り扱っていた事業者も、手元供養品の製造・販売に乗り出している状況です。
手元供養品を専門に扱うネットショップもいくつか誕生しているため、今後の競争激化は避けられないでしょう。

また、亡くなったペットを火葬する習慣が一般化しつつあることから、ペット用ミニ骨壷などを扱う事業者も増加傾向にあるようです。
葬儀業界における最大規模の展示会「フューネラルビジネスフェア」の出展対象カテゴリーに、「ペット葬祭サービス」が含まれている点をみても、ビジネスとしての注目度の高さが感じられます。
ペットの葬祭サービス専門店も多いため、骨壷メーカー様も将来的に取引関係が生じる可能性もあります。

これまで骨壷メーカー様の多くは、BtoBの取引が基本となっていたかと思いますが、手元供養品やペット用供養品については、BtoCビジネスに進出するチャンスになるかもしれません。

骨壷メーカー7社の特徴

日本では陶磁器製の骨壷を利用するケースが多いため、陶磁器で有名な「瀬戸」「有田」に本社を構えている骨壺メーカーも少なくありません。
ここからは各地の代表的な骨壺メーカー7社の特徴について、詳しく紹介します。

トモエ陶業 株式会社

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トモエ陶業は、愛知県瀬戸市で主に食器などを取り扱っていた「株式会社可児商店」として誕生した企業で、その歴史は戦前にまで遡ります。
骨壷を中心に取り扱っていますが、「供養は変わる。想いとともに。」のコンセプトのもと、近年では手元供養品にも力を入れているようです。

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ご遺骨を納められるミニ骨壷や手元供養アクセサリーだけでなく、ご遺骨の成分と天然サファイヤを融合させる遺骨ジュエリーも「つなぐ」ブランドで展開しています。

同社の手元供養品は、「国民歴史民俗博物館」において2022年3月15日~9月25日の日程で開催された「亡き人と暮らす」展にも展示されました。

また主力商品である骨壷は、有田焼や九谷焼・信楽焼・瀬戸焼など美しい装飾の施された商品だけでなく、野球やサッカーなどのボールを模した品まで幅広く取り揃えられています。

【社名】トモエ陶業 株式会社
【設立】1971年
【所在地】〒489-0915 愛知県瀬戸市北浦町3-36
【従業員】30名
【事業内容】陶磁器製造卸
【公式サイト】https://www.tomoetogyo.jp/

エスビー・イトー 株式会社

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エスビー・イトーは愛知県瀬戸市で葬祭用品を取り扱う企業で、瀬戸物の町らしく陶磁器製の骨壷を豊富にラインナップしています。
美濃の名窯「幸兵衛窯」製の商品や、有田焼・九谷焼といった伝統工芸品から、ペット用の葬具各種まで、さまざまな用途に適した商品を取りそろえているのも特徴的です。

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また近年では、繊細な装飾が施された陶磁器製の現代仏具や、手元供養用のミニ骨壷なども展開しているようです。

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同社では、陶磁器だけでなく紙や桐(木製)・珪藻土を素材に使用し、「自然に還る」をイメージした「ECO」骨壷も取り扱っています。

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【社名】株式会社 エスビー・イトー
【設立】1982年5月
【所在地】〒480-1203 愛知県瀬戸市広之田町551-3
【従業員】36名
【事業内容】神具・仏具・葬祭用品・一般陶器の製造販売(骨壷・骨箱・骨覆 等)
【公式サイト】http://www.sbito.com

有限会社 エスケー

有限会社 エスケーは、骨壷を中心に葬祭用品全般を取り扱っている、愛知県瀬戸市の企業です。
瀬戸焼有田焼・九谷焼といった伝統工芸品を取り扱う一方で、世界的に有名なテーブルウェアブランド「NARUMI」とのコラボレーション商品「MEMORIAL」をリリースするなど、斬新なアイデアを実現した骨壷を次々と世に送り出しています。

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さらに世界に一つだけのオーダー骨壷にも力を入れており、スワロフスキーでの装飾を施す「BEL AMI」や、アクセサリーを用いたカスタマイズ骨壷「Revecka」などを展開しています。

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また近年広がりをみせている手元供養にも対応しており、少量のご遺骨を納められる製品も取り揃えています。

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2009年以降は、毎年のように「フューネラルビジネスフェア」や「エンディング産業展」にも出展し、精力的に広報活動を展開している企業です。

【社名】有限会社 エスケー
【設立】1996年
【所在地】愛知県瀬戸市南山口町65番地
【事業所】東京営業所
【従業員】15名
【事業内容】骨壷・骨箱・骨覆い・手元供養品・その他葬祭用品一式
【公式サイト】https://www.sk9.jp/index.html

株式会社 ジャパン唐和

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ジャパン唐和は、葬祭用具の製造販売から葬祭ホールのトータルコーディネートまで対応している、葬儀業界の総合商社ともいえる存在です。
メイン商材としては棺が有名ですが、芸術的な装飾が施された九谷焼など、骨壷も数多く取り扱っています。

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ジャパン唐和では、オリジナル商品として「ここづつみ」シリーズを展開していますが、中でも棺と骨壷のセット『ここづつみ【趣味】ゴルフ』などは、故人様の生前の姿をイメージしやすい商品といえるでしょう。

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【社名】株式会社 ジャパン唐和
【設立】2015年6月1日
【所在地】〒575-0034 大阪府四條畷市江瀬美町14-8
【事業所】大阪配送センター・関東支店・福島支店・九州支店
【従業員】39名
【事業内容】葬祭用具の製造販売業務・葬祭ホールの備品製造販売及びトータルコーディネイト・粗供養品及び      返礼品・ギフトの販売業務
【公式サイト】https://japan-touwa.co.jp/

株式会社 キタジマ

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株式会社 キタジマは、儀礼文化を重んじ伝統文化を守りながら、時代に合った新しい価値観にも対応している葬祭用品メーカーです。
「幕のキタジマ」と呼ばれるほど高く評価されている装飾幕に、オリジナルの祭壇や備品を加えて、式場全体のトータルコーディネートもおこなっています。

棺や仏衣といった葬具全般から、葬儀式場で使用するイスなどの備品や消耗品まで取り揃えており、当然ながら骨壷も扱っています。
2022年11月の新商品として、骨壷・骨箱・骨覆い・風呂敷を選べるセットもリリースしています。

また2023年2月には、ナデシコの種が付属したペット樹木葬用骨壷「はなおり」の販売も開始しました。

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葬儀社様に対する提案の幅をさらに広げるべく、パートナー企業も随時募集しているようです。

【社名】株式会社 キタジマ
【設立】1975年2月1日
【所在地】〒910-8517 福井県福井市高木中央2丁目3214番地
【事業所】札幌営業所・岡山営業所・福岡営業所・仙台営業所
【従業員】55名
【事業内容】ホールデザイン・空間演出・企画・設計、セレモニー商品・ブライダル商品・企画開発
【公式サイト】https://www.kitajima-co.com/

株式会社 香蘭社

創立から140年以上を誇る有田焼の名窯 香蘭社の歴史は、初代深川栄左衛門が有田で陶磁器製造を始めた江戸時代まで遡ります。
創業から300年以上のあいだに、パリ万国博覧会やバルセロナ万国博覧会で金賞を受賞するなど、有田焼の世界的な人気を確立しました。

メイン商材は皿やカップなどの食器となりますが、オリジナル骨壷 『御壷』は本店や直営店で展示販売されています。
有田色絵磁器の技術を活かした骨壷は、オンラインショップからも購入可能です。

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また手元供養用のミニ骨壷も取り扱っており、やはりオンラインショップから購入できます。

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【社名】株式会社 香蘭社
【設立】1879年7月10日
【所在地】〒844-8601 佐賀県西松浦郡有田町幸平一丁目3番8号
【従業員】230名
【事業内容】有田焼の美術工芸品、食器、骨壷、万年筆・万華鏡等の開発、販売。
【公式サイト】https://www.koransha.co.jp/

株式会社アサノ

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株式会社 アサノは、日本六古窯の一つである瀬戸焼の本場・愛知県瀬戸市で、明治40年より国産にこだわった骨壷づくりを続けています。
その一方で新しい試みにも挑戦しており、華道家 假屋崎 省吾氏がプロデュースした『花筐(はながたみ)』や、茶陶を専門とする松本 鉄山氏が手掛けた骨壷など、特徴的な商品を世に送り出している老舗企業です。

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国内で製造しているだけでなく、素材となる土や釉薬(ゆうやく・うわぐすり:陶磁器の表面に光沢を出すために、素焼きされた陶磁器にかけられる薬品)も、瀬戸市で産出されたものにこだわっているようです。

【社名】株式会社 アサノ
【創立】1907年
【所在地】愛知県瀬戸市日の出町6-2
【従業員】13名
【事業内容】納骨壷・神仏具の製造及び卸売
【公式サイト】http://yamamasuasano.com/

まとめ

今回は国内で骨壷の製造・販売を扱っている企業のうち、代表的な7社の特徴について紹介しました。
各企業とも他者との差別化を図るべく、新商品の開発に取り組んでいるようです。

また7社中5社では手元供養品を取り扱っており、手元供養文化の広がりを感じました。
しかし手元供養品市場には異業種からの参入も相次いでおり、安価な商品も次々と投入されている状況下で、勝ち残るのは容易ではないでしょう。

骨壷メーカーの多くは豊富な経験と蓄積された技術を持っていますが、どちらかというと職人気質の企業が多いイメージです。
しかし今後も長く生き残っていくためには、営業戦略に力を入れる必要があるのかもしれません。

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