葬儀社様におかれましては葬儀施行にあたり、さまざまな関連事業者様との取引をされていることと思います。
2017年(平成29年)に公正取引委員会により「葬儀の取引に関する実態調査報告書」が公開され、独占禁止法上の優越的地位の濫用規制及び下請法上、問題になる行為(下請けいじめ)が取りまとめられました。
公正取引委員会では、葬儀業界の取引が公正におこなわれるための取り組みを要請しています。
近年の葬儀の簡素化や小規模化、コロナ禍による収益の減少など、葬儀社様にとって厳しい状況が続いていますが、独占禁止法や下請法に抵触する行為は避けるべきでしょう。
とはいえ、どういった行為が「下請いじめ」に該当するのか、判断が難しいところです。
そこで本記事では、葬儀業界の現状とともに「葬儀の取引に関する実態報告書」をわかりやすくご紹介し「下請いじめ」の発生要因と事例を解説します。
下請いじめとは
親事業者の都合で代金の支払いが遅れたり、不当に減額されたりすることを「下請けいじめ」といいます。
取引の発注者である親事業者から下請事業者へ発注される業務の取引では、親事業者が下請事業者より立場が優位になることから、下請事業者を保護するために下請法が制定されました。
独占禁止法における「優越的地位の濫用」
独占禁止法において、不公正な取引方法の一類型とされている「優越的地位の濫用」とは、取引上の優位な立場を利用し、取引先に対して不当な要求をして不利益を与えることです。
独占禁止法(正式名称:私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)は、公正で自由な競争を促す目的で制定されました。「優越的地位の濫用」は、独占禁止法 第2条 第9項 第5号等で規定され、第19条で「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」と定められています。
下請法とは
「優越的地位の濫用」は、下請取引で発生することが多いことから、独占禁止法を補助するために下請法(正式名称:下請代金支払遅延等防止法)が制定されました。
下請法では、親事業者に対して4項目の義務と11項目の禁止事項が定められており、違反した場合は公正取引委員会より勧告や指導がおこなわれます。
なお下請法の対象になる取引は、親事業者と下請事業者の資本金や取引内容により下表のように決められています。
■物品の製造委託や修理委託を行う場合
親事業者 | 下請事業者(個人を含む) |
資本金 3億円超 | 資本金 3億円以下 |
資本金 1千万円超 3億円以下 | 資本金 1千万円以下 |
■情報成果物作成委託・役務提供委託を行う場合(政令で定められる一定の取引は、物品の製造委託や修理委託の場合と同様です)
親事業者 | 下請事業者(個人を含む) |
資本金 5千万円超 | 資本金 5千万円以下 |
資本金 1千万円超 5千万円以下 | 資本金 1千万円以下 |
親事業者の4項目の義務
民法では口約束でも契約は成立するとしていますが、後になって「言った・言わない」のトラブルに発展しやすく、特に下請取引では一方的なキャンセルなどの不利益を被る可能性があります。
取引の公正化を図り、下請事業者の利益を保護するため、下請法では親事業者に下表の4項目の義務が定められています。
義 務 | 概 要 |
1.書面の交付義務 | 発注の際は、直ちに3条書面を交付すること |
2.支払期日を定める義務 | 下請代金の支払期日を給付の受領後60日以内に定めること |
3.書類の作成・保存義務 | 下請取引の内容を記載した書類を作成し、2年間保存すること |
4.遅延利息の支払義務 | 支払が遅延した場合は遅延利息を支払うこと |
1.書面の交付義務(第3条)
親事業者が発注する際、必要事項を記載した書面(3条書面)を下請事業者に交付しなければなりません。
■3条書面に記載するべき事項の具体例
- 親事業者及び下請事業者の名称
- 発注した日
- 発注内容
- 納期
- 納入場所
- 検査の完了期日
- 下請代金の額
- 下請代金の支払期日
- 下請代金の支払方法 など
出典:政府広報オンライン「下請事業者を守る「下請法」 親事業者との取引で困ったら相談を!」
2.支払期日を定める義務(第2条の2)
親事業者は発注した物品等を受領した日から起算し、60日以内のできる限り短い期間内で下請代金の支払期日を定めなければなりません。
3.書類の作成・保存義務(第5条)
親事業者は下請事業者から受領した給付の内容、下請代金の額等について記載した書類(5条書類)を作成し2年間保存しなければなりません。
5条書類には、下請事業者の商号、名称、事業者別に付された番号、記号その他の符号であって下請事業者を識別できるもの、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託(以下「製造委託等」という。)などの事項を明確に記載しなければなりません。
参照:公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法第5条の書類又は電磁的記録の作成及び保存に関する規則」
4.遅延利息の支払義務(第4条の2)
親事業者が下請代金を支払期日までに支払わなかった場合、下請事業者に対し発注した物品等を受領した日から起算し、60日を経過した日から実際に支払をする日までの期間について、その日数に応じて未払金額に年率14.6%を乗じた額の遅延利息を支払う義務があります。
親事業者の11の禁止行為
下請法では親事業者から下請事業者が不当な扱いを受けることがないように、下表の11項目の禁止行為が定められています。
違反した場合は、親事業者が公正取引委員会より勧告や指導を受け、企業名が公表されます。
禁止事項 | 概 要 |
1.受領拒否 | 注文した物品等の受領を拒むこと |
2.下請代金の支払遅延 | 下請代金を受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わないこと |
3.下請代金の減額 | あらかじめ定めた下請代金を減額すること |
4.返品 | 受け取った物を返品すること |
5.買いたたき | 類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること |
6.購入・利用強制 | 親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させること |
7.報復措置 | 下請事業者が親事業者の不公正な行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由としてその下請事業者に対して、取引数量の削減・取引停止等の不利益な取扱いをすること |
8.有償支給原材料等の対価の早期決済 | 有償で支給した原材料等の対価を、当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること |
9.割引困難な手形の交付 | 一般の金融機関で割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること |
10.不当な経済上の利益の提供要 | 下請事業者から金銭、労務の提供等をさせること |
11.不当な給付内容の変更及び不当なやり直し | 費用を負担せずに注文内容を変更し、又は受領後にやり直しをさせること |
1.受領拒否の禁止(第4条第1項第1号)
下請事業者に責任がないにもかかわらず、親事業者が発注した物品等の受領を拒否することは禁止されています。
2.下請代金の支払遅延の禁止(第4条第1項第2号)
親事業者が、物品等を受領した日から60日以内に定めた支払期日までに、下請代金を全額支払わないと支払遅延となり下請法違反です。
3.下請代金の減額(第4条第1項第3号)
親事業者が下請事業者に責任がないにもかかわらず、発注の際に決定した下請代金を発注後に減額することは禁止されています。
4.下請代金の減額(第4条第1項第3号)
親事業者が下請事業者に責任がないにもかかわらず、発注した物品等を受領後に返品することは禁止されています。
5.買いたたきの禁止(第4条第1項第5号)
親事業者が下請事業者に発注する際、下請代金の額を通常支払われる額に比べ著しく低い代金を不当に定めることは下請法違反です。
6.購入・利用強制の禁止(第4条第1項第6号)
親事業者が下請事業者に発注した物品の品質維持など、正当な理由がないにもかかわらず親事業者が指定する製品や原材料、サービス等を強制的に購入、利用させることは下請法違反となります。
7.報復措置の禁止(第4条第1項第7号)
親事業者の違反行為を下請事業者が、公正取引委員会や中小企業庁に告発したことを理由に下請事業者に対し、取引数を減らしたり取引を停止したりなど、不当な扱いをすることは禁止されています。
8.有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止(第4条第2項第1号)
親事業者が下請事業者に物品の製造等に必要な原材料や部品などを有償で支給している場合、下請事業者の責任ではないにもかかわらず、その原材料等を使用して製造された物品の下請代金の支払日より早く、原材料等の代金を支払わせたり下請代金から相殺したりすることは、下請法違反です。
9.割引困難な手形の交付の禁止(第4条第2項第2号)
親事業者が下請事業者に代金を手形で支払う際、支払日までに銀行など一般の金融機関で割引くことが難しい手形を交付することは禁止されています。
10.不当な経済上の利益の提供要請の禁止(第4条第2項第3号)
親事業者が下請事業者に対して、自己のために金銭や役務などの経済上の利益を提供させて、下請事業者に不利益な扱いをすることは下請法違反です。
協賛金や従業員の派遣を要請することなどが該当します。
11.不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止(第4条第2項第4号)
親事業者が下請事業者に責任がないにもかかわらず、発注の取り消しや内容の変更をしたり、受領後にやり直しや追加作業等をおこなわせる場合、それらの費用を負担せず下請事業者に不利益な扱いをすることは下請法違反です。
出典:公正取引委員会 親事業者の禁止行為 政府広報オンライン
葬儀の取引に関する実態報告書の要点
ここからは、公正取引委員会による「葬儀の取引に関する実態報告書」の要点をご紹介します。
公正取引委員会は、書面調査を実施すべく2016年(平成28年)に調査票を送付し、葬儀業者様696名と納入業者1,451名から回答を得て調査結果をまとめています。
また書面調査における回答者を含め、葬儀業者様4名と納入業者(下請業者)33名、関係事業者団体1名にヒアリングを実施しています。
葬儀業の概況
2014年(平成26)年の死亡者数は約127万人で10年で約25%増加しており、今後はさらに増えて2040年(令和22年)の死亡者数はピークを迎え、約167万人と予想されています。
一方、死亡者数の増加にともなって、葬儀の年間取扱件数は多くなると思われますが一般葬が減少し、葬儀日数や参列者数が少ない、家族葬や1日葬、直葬が増加しており、葬儀1件あたりの売上高は減少していくと考えられます。
今回の調査で増加傾向にあると回答のあった葬儀の種類は下図の通りです。
優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為がみられた取引の状況(行為類型別)
優越的地位の濫用規制上、問題となり得る行為がみられた行為類型別取引の状況は下のグラフのとおりです。
葬儀業者様(親事業者)から優越的地位の濫用規制上、問題となり得る行為を1つ以上受けた納入業者(下請事業者)は、全体の29.9%(434取引)でした。
行為型別では「商品・サービスの購入・利用の要請」が14.9%(216取引)と最も多く、次に「採算確保が困難な取引(買いたたき)が11.4%(166取引)となっています。
優越的地位の濫用規制上、問題となり得る行為を受け入れた納入業者の割合は、取引年数が長いほど高い傾向でした。
また、優越的地位の濫用規制上、問題となり得る行為を受け入れた納入業者の取引年数の平均値(18.7年)は、受け入れなかった納入業者の取引年数(14.7年)より長くなっていました。
具体的事例
納入業者からは、次のような具体的な回答事例があったようです。
- 商品・サービスの購入・利用の要請
イベントのチケットやおせち料理の購入、互助会への入会など様々な要請がある。葬儀業者側では取引先の納入業者の購入実績や入会実績を記録しており、実績が少ないと取引を減らされるため、不要なものでも要請に応じるしかない。 - 採算確保が困難な取引(買いたたき)
葬儀業者が消費者向け価格として設定した価格の、75パーセントを納入価格とする契約で取引を始めたのだが、一方的に消費者向け価格として設定した価格の45パーセントにまで下げられてしまった。
当該葬儀業者に対する売上高は、当社の年間総売上高の半分以上を占めており、今後の取引を考えると仕方なく受け入れている。
優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為がみられた取引の状況(取引内容別)
優越的地位の濫用規制上、問題となり得る行為がみられた取引内容別取引の状況は下のグラフのとおりです。
取引内容別の中で仕出し料理、花、返礼品、ギフトの取引では優越的地位の濫用規制上、問題となり得る行為がみられた取引の割合が30%以上となっており、その他の取引内容より多くなっています
具体的事例
納入業者からの、取引内容別の具体的事例は次のとおりです。
- 葬儀業者の単なる発注ミス、既に納品できる状態になった花の発注をキャンセルされることがある。花には寿命があるため、キャンセルされると処分するしかなくなり、全くの無駄になってしまう。
直前のキャンセルの場合、花の代金を支払ってほしいというのが本音だが、今後の取引への影響を考えるとそのようなことは言えない。 - 仕出料理を葬儀場に運び終えた、葬儀業者から追加注文が入ったため、ほかの業務に優先して追加分の仕出料理を作り、急いで葬儀場に届けたところ、葬儀業者から「客からキャンセルされたので、注文を取り消す」などと言われ、注文を取り消されたため、そのまま追加分の仕出料理を持ち帰った。
本来であればキャンセル料を支払ってもらうところ、今後の取引のことを考えるとキャンセル料を請求することができなかった。
取引上の留意点
葬儀業者様と納入業者の取引上の留意点についてまとめました。
- 葬儀業者様
これまでに独占禁止法違反として法的な措置がなされたり、実態調査でも納入業者からの指摘が多い行為は次のものです。
- 商品・サービスの購入・利用の要請及び金銭・物品の提供の要請
- 採算確保が困難な取引(買いたたき)
親事業者である葬儀業者様は、優位的地位の濫用規制上、問題となり得る行為類型にあたるような行為をおこなわないよう、十分に留意しなければなりません。
- 納入業者
万一葬儀業者様から優越的地位の濫用規制上または、下請法上問題となり得る行為を受けた場合は公正取引委員会に相談や申告ができるように、優越的地位の濫用規制や下請法を理解しておくことが重要です。
葬儀業界において下請いじめが発生する要因
下請いじめが発生する背景には、近年変化しつつある葬儀業界の状況が、深く関係しているようです。
こちらでは葬儀業界において、下請けいじめが発生する要因は何かについて考えてみたいと思います。
葬儀単価の減少
近年では葬儀に対する価値観の変化や少子高齢化の影響などから、一般葬が減少し、家族葬や1日葬・直葬といった小規模で簡素化された葬儀を選ばれる方も増えています。
それにともない葬儀1件あたりの売上高が減少し、葬儀社様の収益も伸び悩んでいる状況です。
こうした状況下で、少しでも収益を増やそうとするあまり、利益の補填やコスト削減を納入業者に対し求めるといった行為が発生しているようです。
また納入業者側も、既存の葬儀社様との取引関係を維持し、さらに取引先を増やしていくためには、葬儀社様の要請を受け入れなければならない状況に陥っていると考えられます。
新規参入の増加
葬儀業界では新規参入が増えつつあり、葬儀社様への調査では10年間で自社の営業地内へ新規参入があったと回答した割合は、72.6%にのぼっています。
新規参入業者のうち、「自社の営業地域外で営業していた葬儀業者」が54.5%、「異業種から参入した葬儀業者」は24.1%でした。
異業種からの新規参入業者の事業内容は下表のとおりです。
近年、生花祭壇が主流となっており、生花事業者や駅周辺に土地を持つ鉄道会社の参入などが増加しています。
価格競争の激化が予想されるため、葬儀業界でも生き残りをかけた営業戦略が求められるでしょう。
葬儀ポータルの台頭
近年では、インターネットを活用して葬儀の施行を希望する消費者を集客し、提携する葬儀社様に斡旋することで紹介手数料を受け取る葬儀ポータルが台頭しています。
集客力に課題を抱える葬儀社様にとって、葬儀ポータルに支払う紹介手数料が収益を圧迫していることも、下請いじめの一つの要因となっているようです。
葬儀業界における下請いじめ事例
こちらでは公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで、審査をおこなった事例を2例ご紹介します。
事例① 株式会社 ユニクエスト
【名称】株式会社 ユニクエスト
【所在地】大阪市西区靱本町1丁目6番3号
【代表取締役】重野 心平
【違反の概要】「特約加盟店制度」を設け、ほかのインターネット葬儀サービス事業者との取引を制限し、提携葬儀社様に支払う葬儀施行手数料を一般加盟店より増額した。
株式会社 ユニクエストは、2009年(平成21年)10月より「小さなお葬式」名義でインターネット葬儀サービスを運営しており、ご遺族様から募集した葬儀を提携している葬儀社様に委託しています。
提携先の葬儀社様に対し、自社以外のネット葬儀事業者との取引制限をおこなっている疑いがあり、2021年(令和3年)6月以降独占禁止法の規定に基づき審査をおこないました。
2018年(平成30年)6月「特約加盟店制度」を取り入れたユニクエストは、葬儀社様が特約加盟店になるにあたり、自社以外のネット葬儀事業者と取引をしないことなどが記載された申請書の提出を要請しました。
特約加盟店では、ユニクエストが提携葬儀社様に支払っている葬儀施行手数料が、一般加盟店より増額される取り決めになっていました。
公正取引委員会では、この特定加盟店制度が不公正な取引方法に該当する可能性があるとして、審査を開始しました。
(一般指定11項〔排他条件付取引〕又は12項〔拘束条件付取引〕)
後にユニクエストから、公正取引委員会に対して特約加盟店制度を廃止し、以後は同じ行為を繰り返さないと決定した、などの改善措置をおこなったとの報告があったため、独占禁止法違反の疑いが解消されたと判断して、審査を終了しました。
参照:公正取引委員会「(令和3年12月2日)株式会社ユニクエストに対する独占禁止法違反被疑事件の処理について」
事例② 株式会社 日本セレモニー
【名称】株式会社 日本セレモニー
【所在地】山口県下関市王喜本町六丁目4番50号
【代表取締役】神田 輝
【違反の概要】下請事業者におせち料理やディナーショーチケットなど物品の購入を要請し、代金の振込手数料も負担させた。
株式会社 日本セレモニーは、全国に施設を展開し葬儀式場のほか結婚式場の運営や、介護事業、飲食業などさまざまな事業をおこなっています。
自社または子会社5社が、下請事業者144名に対し、おせち料理やディナーショーのチケット等の購入を要請していました。(総額 3,302万1,500円)
さらに物品の販売が目標数に届かなかった場合に再度の購入を要請し、下請事業者に購入代金を振り込む際の振込手数料も負担させていました。
公正取引委員会は、株式会社 日本セレモニーに対し調査をおこない、下請法(第4条第1項第6号(購入・利用強制の禁止)に違反する行為だとして、同社に2016年(平成28年)6月勧告をおこない、子会社に指導をおこなったものです。
公正取引委員会は日本セレモニーに対し、下請事業者が購入したおせち料理等の代金や振込手数料を支払うことや、今後は物品の購入を強制しないこと、下請法の社内研修をおこなうことなど必要な措置をとるよう勧告をおこないました。
参照:公正取引委員会 「(平成28年6月14日)株式会社日本セレモニーに対する勧告等について」
まとめ
本記事では、2017年(平成29年)に公正取引委員会により公開された「葬儀の取引に関する実態報告書」をご紹介し、下請いじめの発生要因と事例を解説しました。
近年の葬儀の簡素化や小規模化など、葬儀社様にとって厳しい状況が続いていますが、独占禁止法や下請法に違反する行為は避けなければなりません。
そのためには、独占禁止法の優越的地位の濫用規制や下請法をよく理解しておくことが大変重要になりますので、社内研修など通して社員全員に下請法の周知を図ることが必要でしょう。
葬儀社様におかれましては今一度、下請法について確認される際の参考にしていただければ幸いです。