葬祭事業に長く携わっている企業は、冠婚葬祭互助会(かんこんそうさいごじょかい)事業を営んでいるところが少なくありません。
相互扶助(そうごふじょ)の精神から始まった冠婚葬祭互助会事業ですが、現在では顧客囲い込みの手段としての印象が強いようです。
冠婚葬祭互助会については、かねてより解約トラブルなどが絶えず、あまり良いイメージを持っていない方も多いことでしょう。
しかし冠婚葬祭互助会事業は、少なくとも70年以上にわたり継続していることから、悪い面ばかりではないはずです。
そこで本記事では、Web上に公開されている冠婚葬祭互助会についての悪い口コミやクレームなどから、冠婚葬祭互助会が抱える問題について考えてみたいと思います。
冠婚葬祭互助会にまつわるトラブル実例
互助会の始まりは、戦後の物資が不足していた時期に近隣住民が資金を出し合って1枚の花嫁衣裳を購入し、それぞれの婚礼に利用するという非常に相互扶助的な性格をもつ活動でした。
しかし発足当初の高尚な目的から、いつの間にか商売の道具としての性格が強くなった結果、利用者とのトラブルから裁判に至ったケースもあります。
セレマの解約手数料に関する裁判
冠婚葬祭互助会セレマの高額な解約手数料が消費者契約法に違反しているとして、適格消費者団体のNPO法人「京都消費者契約ネットワーク」が、2008年12月に積立金の解約金条項の差し止めを求めた事案です。
この申し立てに対し大阪高裁において2013年1月25日に言い渡された判決では、解約手数料のうち月掛金の振替費用60円に第1回目を除く月数をかけた金額、及び入金状況通知の作成・送付費用14.27円に契約月数を掛けた金額を超える部分について無効と判断されました。
この判決に対し双方が上告しましたが、2015年1月22日に最高裁判所により双方の上告が不受理とされたため、大阪高裁の判決が確定しています。
その結果、セレマでは月額74.27円以上の解約手数料の請求は認められず、それを超える金額分については返還が命じられました。
これまでセレマ互助会加入者が中途で解約をおこなう場合、解約手数料は最大:98.6%を取られていたところ、最高裁が出した解約手数料は最大:3%で一律とするというものでした。
裁判前と裁判後の解約手数料に関する詳細データはコチラをご覧ください。
ただし、上記の条件が適用されるのは裁判に参加された方のみで、それ以外のセレマ互助会加入者には適用されておらず、こういった裁判があったことすら知らない一般加入者も少なくないと思われます。
葬儀業界においては、当裁判の行方に注目が集まりましたが、一般消費者の認知度は想像以上に低いようです。
こういった状況を改善していくためには、一般消費者に向けて葬儀業界を中心にさらなる情報発信が必要でしょう。