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葬儀の取引に関する実態調査報告書(公正取引委員会)より  ~葬儀業界で問題となり得る取引行為とは~

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葬儀の取引に関する実態調査報告書

公正取引委員会サイト

 

ポイント
2017年3月22日、公正取引委員会より葬儀分野での優越的地位の濫用規制上又は下請法上問題となる行為が行われていないかの実態調査報告が発表された。
納入業者から「葬儀業者から優越的地位の濫用規制上問題となる行為を1つ以上受けた」と回答のあった取引は29.9%(434取引)。
仕出料理、花、返礼品・ギフトの取引において、優位的地位の濫用規制上問題となり得る行為が見られた取引の割合が30%を超えている。

公正取引委員会は、優越的地位の濫用規制上又は下請法上問題となり得る事例が見受けられる取引分野について取引実態を把握するための調査を実施している。

葬儀の分野においても、2016年に冠婚葬祭業者に対して下請法に基づく勧告が行われるなど、これまでも葬儀業者から納入業者へ問題行為が行われているといわれている。

死亡者数の増加の一方で、従来型の「一般葬」が減少し、「家族葬」など小規模な葬儀が増加傾向にあり、葬儀の在り方にも変化が生じている。

こうした状況の中で葬儀市場は新規参入や消費者等のニーズへ対応するための競走が活発に行われる一方で、葬儀業者と取引をする事業者に対して、問題行為が行われていないか実態調査が行われた。

公正取引委員会の「葬儀の取引に関する実態調査報告書」より葬儀業界で問題となり得る取引の実態について調査した。

調査方法

葬儀業又はブライダル業を営んでいると思われる事業者を対象として調査票3,500通を送付するとともに、当該事業者のうち葬儀業又はブライダル業を営んでいると回答した事業者(以下それぞれ「葬儀業者」「ブライダル業者」という。)から報告のあった取引先納入業者を対象として調査票7,000通を送付し、書面調査を実施した。

調査票の発送数及び回答数

葬儀の取引調査票の発送数及び回答数

※調査対象期間:直近1事業年度(一部直近5事業年度又は直近10事業年度)

葬儀の取引調査票の発送数及び回答数グラフ

調査結果 ~葬儀業の概況~

葬儀市場規模は2017年において約1兆7800億円の見込み

葬儀市場規模は漸増傾向が続いている。

死亡者数は2016年において約127万人。過去10年間でおよそ25%増加

2039年には約167万人とピークを迎えることが予測されている。

葬儀の多様化・小規模化から葬儀1件当たりの売上高は減少傾向をたどる

 従来型の「一般葬」が減少傾向にある一方、「一般葬」に比べ参列者数が少ない、葬儀日数が少ない、葬儀費用を低く抑えることができるといった特徴の「家族葬」「直葬」等が増加傾向にある。

大手葬儀業者が事業拡大し、中小の葬儀業者との二極化が進むことも考えられる

事業規模が大きい葬儀業者ほど年間取扱件数、年間売上高とも増加傾向にある。今後、大手の葬儀業者はより事業を拡大し、中小の葬儀業者との二極化が進んでいくことも考えられる。

異業種からの新規参入が活発化している

葬儀業界では新規参入が活発に行われている。新規参入業者については「自社の営業地域外で営業していた葬儀業者」との回答が54.5%を占めたが、事業多角化の一環として子会社等の活用を含め「異業種から参入した葬儀業者」との回答も24.1%に上がった。

異業種からの新規参入業者の主たる事業

◆従前から葬儀業との兼業事業として割合が高い「農業協同組合事業」
◆葬儀業と関係の深い「生花事業」
◆葬儀業との兼業事業としては従前比較的割合が低かった「鉄道事業」
この3事業からの新規参入が増加している。

また、自らは葬儀業を営まず「葬儀業者を紹介するサービスを営む事業者」も増加している。

調査結果 ~葬儀業者による納入業者に対して問題となり得る取引行為~

納入業者から「葬儀業者から優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を1つ以上受けた」と回答のあった取引は29.9%(434取引)。資本金区分から下請法の適用対象となり得るのは、434取引のうち101取引あった。

優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為が見られた取引の状況(行為類型別)

優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為が見られた取引の状況(行為類型別) 優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為が見られた取引の状況(行為類型別)グラフ

 

回答率(不正発生率)最も高かったのは「商品・サービスの購入・利用の要請」では14.6%。
「採算確保が困難な取引(買いたたき)」11.4%、「金銭・物品の提供の要請」9.0%と続いている。

取引年数が長いほど問題行為を受け入れた納入業者の割合は高くなる傾向にあり、受け入れた納入業者の取引年数の平均値(18.7年)と受け入れなかった納入業者の取引年数の平均値(14.7年)には統計的に有意な差が認められた。

納入業者からの具体的な回答事例

商品・サービスの購入・利用の要請

「イベントのチケットやおせち料理の購入、互助会への入会など、様々な要請がある」
「葬儀業者側では取引先の納入業者の購入実績や入会実績を記録しており、実績が少ないと取引を減らされるため、不要なものでも要請に応じるしかない」

採算確保が困難な取引(買いたたき)

「葬儀業者が消費者向け価格として設定した価格の75%を納入価格とする契約で取引を始めたのだが、一方的に消費者向け価格として設定した価格の45%まで下げられてしまった。当該葬儀業者に対する売上高は、当社の年間総売上高の半分以上を占めており、今後の取引を考えると仕方なく受け入れている」

金銭・物品の提供の要請

「葬儀業者が主催するイベントにおけるゲームの景品として、数万円のフラワーアレンジ面との提供の要請がある。イベントにフラワーアレンジメントを提供しても直接当社の売上げにつながることはない。無償のため、当社にとって負担になるが、今後の取引を考えると要請に応じざるをえない」

返品

「通夜・告別式の後、返礼用の海苔の一部を、自宅への弔問客用にということで、施主の自宅に届けることがある。遅い場合、3カ月以上もたってから届けた返礼用の海苔が葬儀業者を通じて返品されることがある。返品された返礼用の海苔は風味が落ち贈答用としては使用できず、処分するしかないが、葬儀業者は代金を支払ってくれない」

発注内容以外の作業等

「当社が仕出料理を葬儀場に届けた際や食器を引き取りに行った際、当社に関係するゴミだけでなく、葬儀業者のゴミの処分までさせられる。この業界では、葬儀業者のゴミを仕出料理業者が処分することが半ば当たり前のようになってしまっており、あまり疑問を持っていなかったが、よくよく考えるとおかしな話である。ただ、ほかの仕出料理業者も同様のことを行っているため、取引継続のことを考えると当社のみがやらないということはできない」

調査結果 ~葬儀業者による納入業者に対して問題となり得る取引内容~

仕出し料理、花、返礼品・ギフトの取引において優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為がみられた取引の割合が30%を超えており、ほかの取引内容に比べて高くなっていた。

優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為がみられた取引の状況(取引内容別)

回答率(不正発生率)が最も高かったのは「返礼品・ギフト」では36.7%。
「花」33.6%、「返礼品・ギフト」32.2%と続いている。

公正取引委員会の対応

調査の結果から、葬儀に関する一部の取引において、葬儀業者による優越的地位の濫用規制上又は下請法問題となり得る行為が行われている状況が認められたため、公正取引委員会は違反行為の未然防止及び取引の公正化の観点から、調査結果の公表とともに以下の対応を行うとしている。

◆葬儀業者の関係事業者団体に対して、本調査結果を示すとともに、葬儀業者が葬儀の取引に関する問題点の解消に向けた自主的な取り組みを行えるよう、改めて優越的地位の濫用規制及び下請法の内容を傘下会員に周知徹底するなど、業界における取引の公正化に向けた取り組みを要請する。

葬儀業者を対象とする講習会を実施し、本調査結果並びに優越的地位の濫用規制及び下請法の内容を説明する。

◆葬儀業者及び納入業者に対し、優越的地位の濫用規制及び下請法への理解を深められるよう、構成取引委員会のホームページ、ツイッター、フェイスブックを通じ、各種講習会への参加、講習用動画の活用を広く呼びかけていく。

◆公正取引委員会は、今後とも葬儀に関する取引実態を注視し、優越的地位の濫用規制上又は下請法問題となるおそれのある行為の把握に努めるとともに、これらの法律に違反する行為に対しては、厳正に対処していく。

参考資料
【公正取引委員会】
(平成29年3月22日)葬儀の取引に関する実態調査報告書
URL:https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/mar/170322_2.html

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葬研(そうけん) 編集部

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葬研(そうけん)編集部のメンバーが“価値ある葬儀施行を求める葬儀社のみかた”をコンセプトに、商材・サービス・動向等をお届けしていきます。

編集部では、加熱する市場に対する興味から業界・企業分析をおこなう者、身内の遺品整理で興味を抱いたきっかけで葬儀のニュース収集をおこなう者、情報の非対称性に疑問を抱いたきっかけから企業の比較をおこなう者等の葬儀に関連するメンバーが結集して作り上げています。

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