福岡県八女(やめ)市に古来より伝承されている「八女福島仏壇」をご存じでしょうか。
江戸時代より伝わる、八女福島仏壇の製作技術を継承する取り組みをおこなっているのが、八女福島仏壇仏具協同組合です。
伝統的工芸品にも指定されている、八女福島仏壇の継承だけではなく、現代の生活に合った仏壇の提案として「ブツマプロジェクト」にも取り組んでいます。
本記事では、八女福島仏壇仏具協同組合をご紹介します。
八女福島仏壇仏具協同組合の概要
福岡県八女(やめ)市に伝わる八女福島仏壇は、製作の工程において多くの職人が携わり、その技術が受け継がれています。
昭和52年には、経済産業大臣より伝統的工芸品として指定を受けました。
八女福島仏壇仏具協同組合は2024年現在、組合員数が30で構成され八女福島仏壇の技術を後世に引き継ぎ、一般に広く伝えていくことをめざしています。
また「ブツマプロジェクト」と名づけた、現代の生活に合った仏壇を提案する取り組みもおこなっています。
【団体名】八女福島仏壇仏具協同組合
【所在地】福岡県八女市本町2-123-2
【代表者】鶴 信行
【設立】昭和51年5月25日
【公式サイト】https://yamebutsudan.or.jp/
八女福島仏壇仏具協同組合の沿革
八女福島仏壇仏具協同組合は、1882年(明治15年)に仏壇従事者が小組合を設立したことから始まりました。
1872(明治元年頃)
仏壇従事者18名
1882(明治15年)
小組合の設立(囲、宮殿、彫刻、金具、精業部門を除く)
1904(明治37年1月)
福島御室仏壇組合を組織し発表会を挙ぐ
1927(昭和2年5月)
福島御室仏壇組合を福島仏壇組合と改称
1939(昭和14年5月)
福島仏壇工業組合設立総会 精業部13名1口50円、102口5100円
1943(昭和18年6月)
県神仏具工業組合八女支部発会式(福島仏壇工業組合解散)
1945(昭和20年)
全国宗教用具統制組合に改称
1949(昭和24年4月)
福島仏壇組合に改称
1976(昭和51年5月)
仕上組合、四種組合を統合、八女福島仏壇仏具(協)を設立 初代理事長に井ノ口弥氏就任
1977(昭和52年3月)
伝統的工芸品として通商産業省告示第167号にて指定を受ける
1977(昭和52年3月)
伝統的工芸品として通商産業省告示第167号にて指定を受ける
1988(昭和63年3月)
福岡県伝統工芸士会設立
1988(昭和63年6月)
大型仏壇製作委員会発足 委員長 井ノ口弥氏
八女福島仏壇仏具協同組合の事業内容
八女福島仏壇仏具協同組合の、事業内容をご紹介します。
八女福島仏壇の継承
福岡県八女市には多くの伝統工芸が伝承されており、八女福島仏壇も貴重な伝統的工芸品です。
八女福島仏壇という名称は、八女市(旧 福島町)でおもに製作されていたことから名づけられました。
八女福島仏壇製作工程は全80工程余りで、木工部分の一部を除き手作業による匠の技法が活かされています。
漆や金箔、金具などの装飾が施され、豪華でありながらも繊細な造りが特徴です。
重要な伝統的工芸品である八女福島仏壇を引き継ぐために、八女伝統工芸館に八女福島仏壇を展示したり、組合の取り組みをSNSで発信したりして魅力を伝えています。
伝統証紙
伝統証紙が貼られた八女福島仏壇は、経済産業大臣が指定した、八女福島仏壇仏具協同組合の検査に合格したことを証明しています。
ふくおか八女仏壇 証明証
八女福島仏壇仏具協同組合所属の職人により、伝統技術で製作された仏壇であることを証明しています。
同組合の公式サイトに、八女福島仏壇を紹介する動画が公開されています。
「ブツマプロジェクト」活動
古来より、ご先祖様の供養として家にあった仏壇。しかし近年は核家族化が進み住宅事情も変化するなかで、従来の形の仏壇を安置することが難しくなっています。
そこで、八女福島仏壇仏具協同組合では、現代の住宅に合った仏壇を模索し、提案しています。
新たな形として発案されたのは、仏像と三具足(花立て、香炉、燭台)の仏具だけで構成した仏壇です。
このプロジェクトは「ブツマ展」と題して、福岡県のほか東京でも展覧会をおこない、お寺の住職や仏壇店主などを招いてトークイベントを開催し、これからの仏壇の形を発信しています。
八女福島仏壇仏具協同組合の特徴
八女福島仏壇仏具協同組合は、以下の特徴があります。
- 仏壇製作の工程部門ごとに組合員が所属
- 現代の生活に合った仏壇の提案
仏壇製作の工程部門ごとに組合員が所属
八女福島仏壇仏具協同組合の特徴は、八女福島仏壇の製作工程を6工程に分け、それぞれの部門に組合員が所属していることです。
6部門は以下のとおりです。
・木地部:杉、檜などの木材を使用し、仏壇の土台や引き出しなどを製作する
・宮殿部:仏壇の屋根部分を製作する 宗派により決まりがある
・彫刻部:木材部分に図案を描いて彫刻する
・金具部:銅などの地金に模様を彫る 仏壇の装飾に使用される
・蒔絵部:漆で絵柄を描き、金粉、銀粉、貝などを蒔きこむ
・仕上げ部
現代の生活に合った仏壇の提案
伝統の継承とともに、現代の暮らしに合った仏壇を消費者に提案する「ブツマプロジェクト」の取り組みもおこなっています。
江戸時代より伝わり、明治時代に基礎が作られた八女福島仏壇と、現代風な仏壇の両方を大切にしている想いが伝わってきます。
八女福島仏壇仏具協同組合に加盟するメリット
八女福島仏壇仏具協同組合に加盟するメリットは、組合員が団結して伝統的工芸品に指定されている八女福島仏壇を、後世に継承していく活動ができることでしょう。
また時代の変化に合わせて、豪華ではないけれども八女福島仏壇の伝統技術を活かした、ご本尊や仏具で仏壇空間を作る取り組みなど、今後の消費者の需要を見越した仏壇の提供もできます。
まとめ
本記事では、八女福島仏壇仏具協同組合についてご紹介しました。
組合では伝統的工芸品である、八女福島仏壇の製作技術を次世代に継承する取り組みとともに、現代の生活に合った仏壇を提案する「ブツマプロジェクト」活動をおこなっています。
古来よりの伝統と、時代に合った新たな提案の両方を大切にする取り組みは、今後葬儀業界においても重要な要素になるのではないでしょうか。