鹿児島県 南九州市川辺(かわなべ)町は仏壇の街と言われるように、古来より信仰心があつく仏壇製作が盛んな地域です。
川辺町地域で製作される「川辺仏壇」に携わる店舗や企業が加盟しているのが、鹿児島県 川辺仏壇協同組合です。
伝統的工芸品である、川辺仏壇の技術を消費者が体験したり、技術を活かした商品の開発、製作などをおこなって、川辺仏壇の継承と普及に努めています。
この記事では、鹿児島県 川辺仏壇協同組合についてご紹介します。
鹿児島県 川辺仏壇協同組合の概要
川辺仏壇は、南九州市川辺町地域で製作されており、明治9年頃より始まった仏壇製作が基礎となっています。
昭和50年に、経済産業大臣より伝統的工芸品の指定を受けました。
2024年現在、7部会27名の組合員で構成されており、課題である後継者育成を目標に、川辺仏壇の良さと製作技術を伝えています。
【団体名】鹿児島県 川辺仏壇協同組合
【所在地】鹿児島県南九州市川辺町平山6140-4
【代表者】滝山 健一
【設立】昭和11年3月
【公式サイト】https://www.kawanabe-butudan.or.jp/
鹿児島県 川辺仏壇協同組合の沿革
鹿児島県 川辺仏壇協同組合の、沿革をご紹介します。
昭和11年3月
川辺仏壇組合設立(任意組合)
昭和50年05月
伝統的工芸品として通商産業省告示181号にて指定を受ける
昭和56年04月
川辺仏壇伝統工芸士会設立
昭和60年11月
第8回全国伝統的工芸品仏壇仏具展にて通産大臣賞受賞
平成15年10月
第17回全国伝統的工芸品仏壇仏具展にて 経済産業大臣賞受賞
平成19年11月
伝統産業振興の功労により経済産業大臣賞受賞
平成24年07月
東日本大震災被災地岩手県陸前高田市へ 小型仏壇100基寄贈
平成29年03月
会館改修「川辺仏壇工芸会館」完成
鹿児島県 川辺仏壇協同組合の事業内容
川辺仏壇協同組合は、伝統的工芸品である川辺仏壇の魅力を伝え、普及と後継者育成のため、さまざまな取り組みをおこなっています。
川辺仏壇の継承と普及
鹿児島県 川辺仏壇協同組合は、伝統的工芸品の川辺仏壇の製作技術を後世に継承することをめざしています。
そのための同組合の取り組みとして、川辺仏壇工芸会館に川辺仏壇や、デザイナーとコラボした工芸品、仏壇製作技術を駆使した神輿(みこし)などを展示しています。
また、組合作成の川辺仏壇の工程や技術を紹介した映像を放映したり、修学旅行生や観光客向けに、技術の体験作業場も設けています。
仏壇製作の技術体験会の開催
消費者を対象に、川辺仏壇の技術体験会を開催しています。
蒔絵(まきえ)、螺鈿(らでん)、彫金、金箔押しなどが作品を通じて体験でき、小学生が参加できるコースもあります。
消費者が川辺仏壇の技術を体験できる、貴重な催しといえるでしょう。
川辺仏壇の後継者を育成するため、就業体験インターンシップもおこなわれており、興味のある方に参加してもらい、後継者になっていただくことを目標としています。
鹿児島県 川辺仏壇協同組合の特徴
鹿児島県 川辺仏壇協同組合は、以下の特徴があります。
- 川辺手練団による新商品の開発
- 川辺仏壇製作技術の積極的な発信
川辺手練団による新商品の開発
川辺仏壇の製作工程は、大きく分けて7つの工程に分けられますが、それぞれの職人が「川辺手練団」としてチームを組み、仏壇製作の伝統技術を活かしながら、新たなデザインの商品を開発しています。
川辺仏壇7工程
・木地:木を組む・削る
・彫刻:木を彫る・刻む
・宮殿(くうでん):木を使って宮殿を造る
・金具:金属を曲げる・叩く・切り出す
・蒔絵:絵を描く
・塗り:漆を塗る
・仕上:金箔を貼る・組み上げる
出典:鹿児島県 川辺仏壇協同組合 製作工程
「川辺手練団」の商品の一例
・漆や箔を施したオリジナルスピーカー
・蝶番職人による真鍮(しんちゅう)、銅などを使用したランプシェード
ほかには、神輿や誕生記念の命名プレートなどの商品も製作しています。
公式サイトに「川辺手練団」についての動画が公開されています。
川辺仏壇製作技術の積極的な発信
組合は川辺仏壇製作技術の継承をめざしていますが、後継者確保が課題です。
そこで消費者に向けて、川辺仏壇や製作技術を積極的に発信し、興味を持ってもらい将来の後継者になっていただくことを目標としています。
仏壇の選び方やお手入れ方法を公式サイトで解説しているほか、消費者が製作技術を体験して、小物作品を完成させる体験コースがあります。
川辺仏壇工芸会館で定期的に開催される「かわなべクラフトマルシェ」は、ワークショップやフードコーナーも設けられ好評なようです。
また職人が自ら地元の小学校に出向き、技術体験授業をおこなってその様子をSNSで発信するなど、積極的に取り組んでいます。
鹿児島県 川辺仏壇協同組合に加盟するメリット
鹿児島県 川辺仏壇協同組合に加盟するメリットは、次のようなものです。
- 川辺仏壇を継承する取り組みがおこなえる
- 名称登録ができる
川辺仏壇を継承する取り組みがおこなえる
伝統的工芸品の川辺仏壇の継承にあたり、後継者不足が問題です。
組合では鹿児島市で仏壇展示会を開催するなど、川辺仏壇を継承するさまざまな取り組みをおこなっています。
組合に加盟することにより組合員一体となって、消費者に川辺仏壇を積極的にアピールできます。
名称登録ができる
鹿児島県 川辺仏壇協同組合に加盟するメリットは、伝統的工芸品の川辺仏壇を地域団体登録制度により、名称登録できることです。
川辺仏壇 認定証紙
仏壇のなかには外国産のものもあるため、組合では川辺町内で製作された仏壇に認定証紙を貼付して、伝統と品質を認定しています。
ほかにも「材料商標番号」や「うるしマーク」など、組合員が製作した品質を保証できる仏壇であることを表すマークが数種類あります。
鹿児島県 川辺仏壇協同組合の役員
鹿児島県 川辺仏壇協同組合の役員は、以下の方々です。
役職 | 氏名 |
理事長 | 滝山 健一 |
副理事長 | 吉留 俊三 |
専務理事 | 有薗 英樹 |
まとめ
この記事では、鹿児島県 川辺仏壇協同組合についてご紹介しました。
組合では、伝統的工芸品の川辺仏壇を継承するため、あらゆる取り組みを進めて組合員が一体となり尽力しています。
消費者に対する、後継者育成のための体験会や発信は、葬儀業界においても業務の参考になるのではないでしょうか。
この記事をお役に立てていただければ幸いです。