かつて仏壇・仏具を取り扱うのは専門業者というイメージがありましたが、近年ではホームセンターや家具店、また葬儀社様でも扱っておられることもあるかと思います。
ほかにもさまざまな業者が新規参入しているため、仏壇公正競争規約・施行規則遵守の徹底が重要です。
仏壇公正取引協議会は、仏壇・仏具業界に景品表示法や仏壇公正競争規約を遵守するよう取り組み、消費者が安心して仏壇・仏具を選べるように努めています。
この記事では、仏壇公正取引協議会についてご紹介します。
仏壇公正取引協議会の概要
仏壇公正取引協議会は2012年5月に設立され、仏壇の製造、販売、輸入をおこなっている事業者により成り立っています。
業界へ仏壇公正競争規約・施行規約の周知を図り遵守を求めて、消費者が自由な選択ができるとともに、事業者間の公正競争を促すことをめざしています。
【団体名称】仏壇公正取引協議会
【所在地】東京都千代田区神田司町2丁目 16-7 第二小林ビル2階
【代表者】鉾建 祐治
【設立】2012年5月16日
【公式サイト】https://www.butudan-kousei.com/
出典:仏壇公正取引協議会の紹介
仏壇公正取引協議会の沿革
仏壇公正取引協議会は2012年設立と比較的新しい団体ですが、設立の背景には消費者から多数のクレームが寄せられたことにありました。
仏壇公正競争規約とは
仏壇公正競争規約とは、仏壇の品質表示と原産国表示に設けられたルールのことです。
もとから仏壇には品質や原産国表示に明確な基準がなく、仏壇店ごとに任され判断していたため、消費者から多くのクレームがありました。
基準の改善を求め、経済産業省が全日本宗教用具協同組合と、全国伝統的工芸品仏壇仏具組合連合会に、業界正常化に対する通達を出したのです。
仏壇の表示を消費者にわかりやすい基準にする規約が必要とされ、検討のうえ2013年4月に施行されました。
仏壇公正競争規約は、公正取引委員会と消費者庁が2012年4月に認定と承認をおこなっています。
仏壇公正取引協議会の沿革
2010年6月
消費者から寄せられたクレームを受け、経済産業省より業界の正常化への申し入れがあった。
2010年9月
仏壇公正競争規約制定に向けて東京、名古屋、大阪、広島、福岡、仙台で説明会が開催され、約870社が仏壇公正取引協議会準備委員会に登録された。
2011年2月
経済産業省により「仏壇産業の現状と今後のあり方に関する研究会」が開催され、学識者、消費生活相談員、業者、ワーキンググループなどによって規約案が検討された。
2011年3月
2011年33月には、第1回公正取引協議会・準備委員会の発起人会が開催され、2012年4月の第7回発起人会まで長時間にわたり規約案について真剣な討議が交わされた。
2012年4月
公正取引委員会、消費者庁より「仏壇の表示に関する公正競争規約(仏壇公正競争規約)」の認定と同施行規則の承認をいただき、4月27日に告示された。
2012年4月27日
仏壇公正競争規約は2012年4月27日に告示されたが、一部規約の施行は2013年4月27日より施行するとした。
2012年5月16日
仏壇公正取引協議会設立総会が大田区産業プラザで開催され、仏壇公正取引協議会の設立が承認された。
仏壇公正取引協議会の事業内容
仏壇公正競争規約・施行規則を基本として、規約に関することや会員への情報提供、関係官公庁への連絡などの対応をおこなっています。
さまざまな課題についての調査、検査をおこない、仏壇公正競争規約や景品表示法の普及に尽力し、消費者に対する品質表示基準を定めています。
事業内容としては以下のとおりです。
■ 仏壇公正取引協議会は、次の各号に掲げる事業を行う。
引用:仏壇公正取引協議会 活動内容
- この規約の周知徹底に関すること。
- この規約についての相談及び指導に関すること。
- この規約の遵守状況の調査に関すること。
- この規約の規定に違反する疑いがある事実の調査に関すること。
- この規約の規定に違反する事業者に対する措置に関すること。
- 一般消費者からの苦情の処理に関すること。
- 不当景品類及び不当表示防止法及び公正取引に関する法令の普及並びに違反防止に関すること。
- 関係官公庁との連絡に関すること。
- 会員に対する情報提供に関すること。
- その他この規約の施行に関すること。
仏壇公正取引協議会の特徴
仏壇公正取引協議会は、2023年時点で全国37都道府県に正会員と賛助会員となっている加盟店があります。
仏壇公正取引協議会 正会員
正会員は、仏壇の年間売上高により5つのランクに分かれており、以下のようにランクによって入会金と年会費の額が異なります。
ランク | 仏壇本体の年間売上 | 年会費 | 入会金 |
1 | 5億円以上 | 10万円 | 10万円 |
2 | 3億円以上5億円未満 | 5万円 | 10万円 |
3 | 1億円以上3億円未満 | 3万円 | 6万円 |
4 | 5千万円以上1億円未満 | 2万円 | 4万円 |
5 | 5千万円未満 | 1万円 | 2万円 |
仏壇公正取引協議会 賛助会員
賛助会員は、宗教用具関連業界の個人、事業者、団体で協議会に賛同される方を対象に募集しています。
賛助会員は総会の議決権はありませんが、賛助会員証書とステッカーが配布され、商品の適正表示に関する支援が受けられます。
また、協議会会員やほかの賛助会員との情報交換、交流などがおこなえるようです。
協賛会員の年会費は法人が3万円で、個人は1万円となっています。
仏壇公正取引協議会に加盟するメリット
仏壇公正取引協議会に加盟すると、会員証書と協議会加盟店を表す店頭ステッカーが交付され、会員マークの使用が許可されます。
会員マークは、チラシやパンフレットなどの印刷物に使用できます。
店頭ステッカーは、品質表示と原産国表示を適正におこなっている仏壇店であると消費者に示せます。
また、仏壇公正競争規約・施行規則についての調査を依頼でき、万一消費者から苦情があった場合も、処理の相談ができるようです。
会員への情報提供や、関係官公庁との連絡など加盟店にとって会員であることは多くのメリットがあると思われます。
仏壇公正取引協議会の役員
仏壇公正取引協議会の役員は、以下の方々です。
役職 | 氏名 |
会長 | 鉾建 祐治 |
副会長 | 濱田 明彦、若林 英博、小林 大介 |
専務理事 | 内藤 啓喜 |
理事 | 泉 浩一、太田 博久、加茂 定治、木村 謙吾 新貝 三四郎、杉浦 伸司、宮川 孝昭、諸田 邦義、安田 元慶、山田 宗宏、𠮷川 和毅、米原 実 |
監事 | 保志 康徳、安田 松慶 |
まとめ
仏壇・仏具を取り扱う業者が多様化している近年、仏壇公正競争規約の周知や遵守が徹底できていないことが課題となっています。
仏壇専門店以外の店舗での取扱いやネット販売など、消費者が購入しやすい環境ではありますが、規約の理解や遵守ができていない業者が存在するのも事実です。
この記事では、仏壇・仏具販売事業者に対して仏壇公正競争規約を周知、遵守を目的としている仏壇公正取引協議会をご紹介しました。
葬儀社様も、ご遺族様から仏壇の相談を受けることがあるかもしれませんので、仏壇公正取引協議会や仏壇公正競争規約を知っておかれることで業務にお役立ていただければ幸いです。