フューネラルビジネスフェアは、1996年に葬祭業界の専門誌『月刊フューネラルビジネス』の創刊とともにスタートした業界屈指のイベントです。
『月刊フューネラルビジネス』の創刊とイベント立ち上げ当初から関わられてきた、綜合ユニコム様の『月刊フューネラルビジネス編集部』部長、吉岡真一氏(以下、吉岡氏)に、昨年までの振り返りと23回目になる今年の見どころについてお話をうかがいました。
2018年のテーマは「葬儀価値の再創造」
Q:昨年のテーマは「[葬儀価値の再創造]社会と人々をつなぐエンディングサービスのかたち」でした。葬儀における価値の再創造とは、どういうことでしょうか?
近年、家族葬や直葬が増えました。さらに葬儀の内容より料金で判断されることが多くなり、5万円安いからA社よりB社にする、というように。こうした価格競争では、葬儀の意義が失われてしまいます。したがって、葬儀会社のアイデンティティを取り戻すとともに、葬儀の重要性を説き、葬儀の価値をあらためて見直そうということが目的でした。
葬儀を安く済ませたい風潮が根強くある中で、故人の遺志を尊重しつつ、価値のある葬儀とは何か?を問かけたい、と考えたのです。
葬儀は内容が大切です。さらに親しい人との死別による深い悲しみに寄り添い、立ち直ることを支援するグリーフケアというサービスも出てきました。
シンポジウムでは、グリーフケア研究所や京都グリーフケア協会に登壇いただくなど、葬儀以外のセミナーも設けました。登壇される講師の方も、価格より葬儀の価値を重視される方ばかりです。
毎年28講座ほどを開催しますが、そのうち4~5講座は、新しい講師の方を招いています。それには月刊誌の取材を通じて注目企業をピックアップします。また、今回は終活ねっとのような注目度の高い企業からも講師を招いているので、バラエティに富んだ顔ぶれです。
Q:会場の構成はどのようになっておりますでしょうか。
会場のパシフィコ横浜は1階が展示会場、有料のシンポジウム会場が2階に分かれています。したがって、シンポジウムでは静かな環境で聴講できます。
展示会場内にセミナー会場を設けると、隣の会場の音が漏れてきたり、展示会場の音が聞こえてくるなど、たとえ聴講無料とはいえ、落ち着いて話を聴くことができません。弊社は有料のセミナーなので、じっくり聴講していただくために配慮しました。また、シンポジウムに参加された方からは、資料が充実していてよかったという感想もいただいています。
Q:マスコミの反響はいかがでしたか?
テレビは3局ほど取材があり、初日の模様は翌日のワイドショーで取り上げられました。イベント後には主要な業界誌に掲載されました。
また来場者様には葬儀社の経営者が多いことが特長です。意思決定者なので、出店社様としてもビジネスの話が早いのです。
Q:月刊誌との相乗効果もあるのでは?
私自身、月刊誌の取材で社長様と顔なじみになっていますから、会場でたくさんの社長様から声をかけていただきます。「1日では展示会場を回りきれなかったので、来年は2日連続で参加したい」という声も頂戴しました。
ちなみに、他のイベントに視察に行っても、取材したことのない葬儀社が多いのかもしれませんが、ほとんど声をかけられることはありません。
弊社は、月刊誌とイベントによって葬祭業界の各社とパイプが太いことが他社との差別化要因になっています。
2019年のテーマは「伝統×革新」
Q:2019年のフューネラルビジネスフェアのテーマ、「[伝統×革新]人生100年時代の葬祭サービス」について、設定した背景や意図を教えてください。
平成から令和に時代が変わったことにより、伝統や葬儀の意義、そして価値を守りつつ、革新しなければならないこともあります。変えてよいもの、変えてはいけないもの、伝統と革新の融合が重要だと思ったのです。家族葬、直葬が増えたことにより、葬儀自体の単価は下降傾向にあります。そこで葬儀以外のビフォア、アフターに拡げていくことが必要です。
実際に、葬儀会社が有料老人ホームやデイサービスを展開するような動向が目立つようになりました。弊社では『月刊シニアビジネスマーケット』という雑誌を発行して、シニアマーケットにも精通しております。
今年の展示では、QLCプロデュース様というデイサービスをフランチャイズで展開している企業が出展します。今後は葬祭と介護という2つの領域がより近くなっていくことでしょう。
Q:今回の展示で、経営者の見どころ、入社3年目ほどの葬祭ディレクターの見どころ、葬祭業界に入ったばかりの新入社員の見どころを教えてください。
生花祭壇のデモンストレーションは、例年、立ち見が出るほどの人気があります。今年は展示会場内のステージが1つ増設され、3か所になりました。今回新設された「フューネラルメイク」のデモンストレーションは必見です。
経営者の方にはシンポジウムと展示会場のすべてを見ていただきたいのですが、経営者、葬祭ディレクター、新人ごとに見どころを紹介すると次のようになります。
経営者の見どころはシンポジウム、展示会場では商談を
例年、会場に訪れる参加者の大半は経営者層です。そんな経営者におすすめは有料のシンポジウム。特にA会場は経営者向けのセミナーで構成しています。17日(月)13:40~15:20には「新進気鋭の若手経営者が実戦する成長戦略」のリレー講演もあります。
売上2~3億円の中堅企業の経営者としては、両日ともにプレゼンテーションステージ1で12:00~12:30に行われる、あつまる様の「30日でできる!1斎場あたり売上年間5,000万円UP事例大公開セミナー」を見ておくとよいでしょう。
展示会場のブースには出展企業の経営者も参加しているため、その場でトップどうしの商談ができます。
葬祭ディレクターの見どころは、展示会場のステージ
若いディレクターや幹部候補は、シンポジウムのAとBがおすすめです。さらに展示会場では、今回初めて特別企画として「フューネラルメイク」デモンストレーションを2日間で3講座を開講いたしますので、こちらを押さえておくといいでしょう。
また、QLCプロデュース様の「高齢者向けビジネスの事業的魅力 収益が上がるシニア向け事業で成功するポイント」もおすすめです。
新入社員の見どころは、展示会全体
新入社員は、展示会場では時間の許す限り出展企業を回って情報を収集し、業界の現状を体感すること。できれば恐れずに名刺交換をしたり、コミュニケーションをはかったりするとよいでしょう。シンポジウムではC会場が現場向きです。
葬儀司会であれば、17日(月)展示会場ステージ3、11:30~12:30、エムシープロデュース様の無料プレゼンテーションで葬儀司会のCD教材がもらえます。18日(火)シンポジウムのC会場10:00~12:00、C-4の有料セミナーでもCD教材がもらえます。
17日(月)展示会場ステージ3ではサンヴィラージュ様、フューネラル・フラワー技能検定協会様による生花祭壇のデモンストレーションは必見です。
人生100年時代を契機に次のステージへ
Q:最後に人生100年時代を迎えて、これからの葬祭業界の在り方と、御社の展開について教えてください。
平成の30年あまりの間に、葬祭業界は大きく変わりました。
業界全体としては、厳しい状態にあります。そこで、高齢者の生前におけるゲートボール大会やフラワーアレジメントなどのカルチャー教室を開くなど、豊かなエンディングライフも含めて、葬祭をとらえ直す必要があります。
人生100年時代を踏まえて『月刊フューネラルビジネス』やフューネラルビジネスフェアの他に、別途セミナーやDVD制作なども手がけています。
まずは、フューネラルビジネスフェア2019にご来場いただき、業界全体をウォッチしてみてはいかがでしょう。
フューネラルビジネスフェアの成り立ち
現在は多くの読者に読まれる『月刊フューネラルビジネス』。しかし1996年、ゼロ号の発行と創刊時には、かなりの苦労がありました。
そもそも弊社は、レジャー業界を中心としたビジネスを展開していましたが、葬儀業界はまったく未知の業界。まず「どうやって知ってもらうか?」という認知拡大が大きな障壁でした。その当時、葬祭の展示会が他にはなく、業界からの求めに応じる形で月刊誌創刊と同時にフューネラルビジネスフェアを立ち上げました。
1980年代から葬儀会館が設立され始めていましたが、雑誌の創刊と展示会を始めた1996年は、家族葬はもちろん直葬もない時代。葬儀の会葬者は、東京でも150~200人、地方であれば300人という大規模で、白木祭壇が一般的でした。霊柩車も現在の洋型はまだ少なく、ほとんどが宮型霊柩車でした。そして1990年代に自宅葬から葬儀会館における葬儀に急速な移行が始まり、時流から情報が求められるようになります。そうしたなかで『月刊フューネラルビジネス』とフューネラルビジネスフェアは徐々に認知されるようになりました。
弊社は月刊誌というメディアを持っていることが強みになっています。情報収集や記事の取材で業界の動向を詳しく知ることができ、お客様と内容の深い話ができるからです。雑誌×イベントというクロスメディア展開が相乗効果をあげています。